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米国での課税強化報道を嫌気も29000円処での底堅い展開に【クロージング】


23日の日経平均は反落。167.54円安の29020.63円(出来高概算9億5501万株)で取引を終えた。バイデン政権が富裕層を対象にキャピタルゲインへの課税を従来の約2倍に引き上げる考えだとの一部報道を嫌気して下落した米国市場の流れを引き継いで、主力株中心に売り先行の展開。しかし、前日の自律反発で一巡感も意識されるところであり想定内の一服に。寄り付き直後の28770.62円を安値に、その後は29000円を挟んだ狭いレンジ推移となった。

東証1部の騰落銘柄は、値下がり銘柄数は1300を超え、全体の6割超を占めた。セクター別では、空運が2.84%と大きく上伸したほか、陸運、ゴム製品、不動産など11業種がしっかり。一方、鉄鋼が1.86%、機械が1.09%、石油石炭が1.03%、非鉄金属が1.02%下落するなど22業種が値下がりした。指数インパクトの大きいところでは、セコム<9735>、ソニーG<6758>、第一三共<4568>、資生堂<4911>が堅調。半面、ファナック<6954>、東エレク<8035>、ソフトバンクG<9984>、エムスリー<2413>が軟調だった。

バイデン政権による富裕層への増税が実現すれば、クオリティ株を中心に含み益の出ている保有株を増税前に売る動きが加速する可能性があるとの警戒感が東京市場にも広がり、リスク回避姿勢に繋がった。また、前日に決算を発表した日本電産<6594>が弱い値動きを見せたこともセンチメントを冷ます格好に。ただし、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、ここ最近下落していた空運、陸運、不動産などのセクターには買いが入り、押し目を拾う動きも強まったようだ。

米国での増税観測について、他に大きく資金を振り分けるマーケットも乏しいだけに、動揺は短期間で済むのではないかとの声も聞かれる。また、国内では、政府は25日から5月11日までの間、東京、大阪など4都府県に緊急事態宣言が発令される見込みだ。過去2回の緊急事態宣言発令後の株価上昇を連想する向きもある一方、外食、小売、量販店など内需企業への影響は避けられないのも事実。加えて、主要企業の決算発表も本格化してくるため、業績動向を精査する良いタイミングになるのとの声も聞かれる。

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