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経済の早期回復期待を背景にした景気敏感株買い【クロージング】


11日の日経平均は3日続伸。175.08円高の29211.64円(出来高概算13億7793万株)で取引を終えた。景気回復への期待感から前日の米国市場でNYダウが過去最高値を更新した流れを映して、景気敏感株中心に買いが優勢となった。また、上海や香港といったアジア市場の堅調さや時間外取引での米株先物高も支援材料となった。ただ、来週16日からの米連邦公開市場委員会(FOMC)、18日からは日銀の金融政策決定会合の開催を控えるなか、心理的な節目を突破してくると戻り待ちの売りなども散見され上値の重い展開となっていたが、29000円から29200円辺りでの狭いレンジながらも、総じて日中の高値圏でのもみ合い展開が続いた。

東証1部の騰落銘柄は、値上がり銘柄数が1500を超え、全体の7割を占めた。セクター別では、海運が7.70%と大きく上昇したほか、非鉄金属、電気ガス、サービスなど21業種が上昇。一方、ゴム製品、陸運、空運など12業種が下落した。指数インパクトの大きいところでは、ファーストリテ<9983>、ソフトバンクG<9984>、エムスリー<2413>、リクルートHD<6098>、コナミHD<9766>が堅調。半面、テルモ<4543>、東エレク<8035>、オリンパス<7733>、アステラス薬<4503>、KDDI<9433>が軟調だった。

米国で新型コロナウイルス危機に対応する1.9兆ドル規模の追加経済対策が12日にも成立する見通しとなり、景気回復への期待感が日増しに高まっている。こうしたなか、東京市場では、銀行などのシクリカルバリュー株が堅調に推移していた。ハイテク・グロース株からの資金シフトが一段と鮮明になっているようだ。また、これまで懸念材料とされてきた米長期金利の上昇も一服感が出ていることもセンチメントの改善につながったとみられる。

一方、需給面では不安が残る。3月5日時点の裁定買い残(約5億2800万株)が裁定売り残(約4億2000万株)を上回り、2020年1月以来となる買い越しに転じた。裁定売り残は20年のピーク(約11億2700万株)を7億株超下回っており、今後増加する余地は十分にありそうだ。このため、関係者からは3月下旬ごろまでは、海外投資家による先物売りに伴う裁定解消売りが相場を冷やす可能性があると警戒している向きもあり、目先は値固めの展開に変化はなさそうだ。

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