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後場に注目すべき3つのポイント~「米CPI抑制」はポジティブか?


11日の後場の取引では以下の3つのポイントに注目したい。

・日経平均は3日続伸、「米CPI抑制」はポジティブか?
・ドル・円は小じっかり、米長期金利の下げ渋りで
・値上がり寄与トップはファーストリテイリング<9983>、同2位がソフトバンクG<9984>

■日経平均は3日続伸、「米CPI抑制」はポジティブか?

日経平均は3日続伸。143.28円高の29179.84円(出来高概算6億9000万株)で前場の取引を終えている。

10日の米株式市場でNYダウは4日続伸し、464ドル高となった。2週間ぶりの過去最高値更新。2月の消費者物価指数(CPI)がインフレ抑制を示し、警戒感が後退したほか、下院が1.9兆ドルの追加経済対策を可決したことも好感された。一方、10年債入札が低調な結果となり、長期金利が下げ止まるとナスダック総合指数は下落に転じた。本日の東京市場でも値がさグロース(成長)株に売りが先行し、日経平均は2円安からスタート。利益確定の売りが上値を抑える場面もあったが、NYダウの高値更新で投資家心理が上向き、日経平均は前引けにかけて一時29201.49円(164.93円高)まで上昇した。

個別では、ファーストリテ<9983>が2%を超える上昇で日経平均を約78円押し上げている。ソフトバンクG<9984>、任天堂<7974>、三菱UFJ<8306>や三井住友<8316>といったメガバンク株もしっかり。郵船<9101>、商船三井<9104>、川崎船<9107>といった海運株は外資系証券が目標株価を大幅に増額し、揃って急伸。また、セレス<3696>などが東証1部上昇率上位に顔を出している。一方、村田製<6981>が3%超の下落。こちらは外資系証券による投資判断引き下げが観測されている。米ハイテク株安の流れを引き継いでキーエンス<6861>や東エレク<8035>も軟調。また、決算発表のアセンテック<3565>やトビラシステムズ<4441>が東証1部下落率上位に顔を出している。

セクターでは、海運業、パルプ・紙、電気・ガス業などが上昇率上位。半面、ゴム製品、空運業、精密機器などが下落率上位だった。東証1部の値上がり銘柄は全体の68%、対して値下がり銘柄は29%となっている。

前日の米株式市場では、インフレ過熱懸念の後退と追加経済対策の成立見通しを背景にNYダウが過去最高値を更新した。日経平均も朝方こそ小安く始まったものの、外資系証券の強気の投資判断が見られた海運株を中心に買い優勢の展開となっている。値がさグロース株が全般軟調だが、ファーストリテは日経平均の押し上げ役だ。日足チャート上で9万円台前半に位置する75日移動平均線水準まで調整が進んだことから、リバウンド期待が高まったとみられる。直近では傘下の「ユニクロ」「GU(ジーユー)」で実質値下げすると発表し、ネガティブ視する向きもあったが、一般消費者の節約志向が強まっているならむしろ今後も有望企業と捉えられるだろう。筆者の周辺はみな「GU」のヘビーユーザーだ。

さて、とはいえ日経平均は前日の日中高値(29233.47円)を捉えることができず、高値更新のNYダウと比べると上値が重い印象もある。週末の先物・オプション特別清算指数算出(メジャーSQ)を前にトレンドが出にくい面もあるだろうが、ここにきて日本株が米国株をアンダーパフォームしている感があるのは、2つの理由によるものと考えられる。

まず、第1に経済協力開発機構(OECD)が9日発表した世界経済見通し。日本の2021年成長率見通しは従来の2.3%から2.7%に引き上げられた。ただ、追加経済対策が成立する公算となった米国は3.2%から6.5%に大幅上方修正。国際株式投資におけるカントリーアロケーション(国月配分比率)が再び米国に傾きそうなところだ。

第2に、その米経済対策の成立に伴う米個人の資金フロー改善期待だ。今回の経済対策は1400ドル(約15万円)の個人向け現金給付を柱とし、早ければ今週から来週にかけて給付が始まるもよう。このところ長期金利の上昇とともにきつい調整を強いられたハイテク株も、個人の投資資金が再流入することで持ち直すのではと期待する声がある。需給的にも目先は米国株の方が妙味ありと受け止められているのかもしれない。

また、前日はCPIの伸び悩みで米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和縮小(テーパリング)が遠のくとの期待も出てきた可能性がある。ただ、筆者が今回のCPIから透けて見えたのは「将来不安と資産インフレ観測から、支出を切り詰めて投資にいそしむ米個人の姿」だ。経済実態としてポジティブに受け止めていいものか疑問はある。それに生活物価の下押し圧力の影響を受けるCPIをベースに金融政策を決めるべきか。慢性的に金融環境が緩和的となり、生活物価とは裏腹に資産価格は上昇が続きそうだ。その意味で日本、米国とも個人が株式投資への関心を高めていることは極めて合理的で正しい。しかし、先行きを考慮すれば金融政策の舵取りは一層難しくなったとも言える。
(小林大純)

■ドル・円は小じっかり、米長期金利の下げ渋りで

11日午前の東京市場でドル・円は小じっかりとなり、108円前半から半ばに値を上げた。前日海外市場で低下した米10年債利回りがやや持ち直し、ドル売りは後退。また、日経平均株価の堅調地合いでドルは仲値にかけて買いが強まり、上昇基調を維持した。

ここまでの取引レンジは、ドル・円は108円36銭から108円54銭、ユーロ・円は129円23銭から129円51銭、ユーロ・ドルは1.1916ドルから1.1935ドル。

■後場のチェック銘柄

・メディア工房<3815>、sMedio<3913>など、4銘柄がストップ高

※一時ストップ高(気配値)を含みます

・値上がり寄与トップはファーストリテイリング<9983>、同2位がソフトバンクG<9984>

■経済指標・要人発言

【経済指標】

・日・2月企業物価指数:前年比-0.7%(予想:-0.7%、1月:-1.5%←-1.6%)

【要人発言】

・米国務省
「ブリンケン国務長官とサリバン大統領補佐官は、中国の外交担当トップである楊共産党政治局員と王毅外相と来週アラスカで会談」

・米議会関係筋
「追加経済対策法案が下院で可決」

・米議会関係筋
「ガーランド司法長官を承認」

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