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ロシアが粛々と金を買っている理由~もっと知りたい商品先物取引(高井ひろえ)


みなさんこんにちは!フィスコマーケットレポーターの高井ひろえです。前々回のコラムでは、ここ8年間、金価格が右肩上がりの上昇になっていて、その上昇を支えているのは各国中央銀行の金買いだということをお伝えしました。リーマンショック、ユーロ危機によりドルやユーロへの信頼が損なわれ、金などに分散投資することの重要性を痛感した各国中央銀行が金を買うようになったということでしたね。ここで「各国」の中央銀行と伝えましたが、具体的にはどのような国が金を購入しているのでしょうか。一緒に見てまいりましょう。

■各国の金購入額ランキング
2018年までの18年間の、中央銀行の金購入額のランキングを見てみましょう。一番多いのはロシア(1651.8トン)でした。意外だと思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。宝飾品としての金需要でいうと、一番に中国やインドが思い浮かびそうです。次に2位中国(1447.5トン)、3位カザフスタン(277.9トン)と続きます。4位はインド(228.7)、5位サウジアラビア(180.1トン)、6位はトルコ(142.4トン)となっています。

■そもそも、なぜ金を買うのか?
では、これらの国々はそもそもなぜ金を買っているのでしょうか。各中央銀行にとったアンケートによると、「安全資産だから」という理由がトップになっています。ほかには、「流動性が高いから」という理由も挙げられていました。これは市場での取引量が多く、貨幣に換えやすいことを意味します。まさにこの目的を意識しているとみられるのがロシアです。ロシアは様々な時期において欧米から経済制裁を受けています。この経緯から、ロシアはドルの利用を停止されることも想定しているのかもしれません。国際取引の多くはドルを介して行われているので、ドルが使えなくなると貿易などもできなくなってしまいます。そういった事態に備えて、基軸通貨ドル以外で流動性が高い金に目をつけたと考えられます。

■データからもわかる「ドル離れ」
ちなみに、このロシアのドル離れはデータにも現れています。ここ数年で、ロシアはアメリカの短期国債の保有量を減らしている一方で、これに反比例するように金の購入量を増やしています。つまり、アメリカの短期国債を売ったお金で、金を購入しているとみられます。ちなみにロシアの隣国であるカザフスタンも、ロシアと同様の理由で金を購入しています。

■地政学リスクを意識しての金買い
経済危機など何かあったときにも価値を保ち続けてくれるという信頼の厚い金。地政学リスクを意識した買いも入っているのですね。金の購入動向から各国の思惑が伺えて、とても興味深いです。

フィスコマーケットレポーター 高井ひろえ




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