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すぐ始めたい人のための「先物取引入門」(5)利益と損失はどうやって計算するの?(三井智映子) 


こんにちは!フィスコマーケットレポーターの三井智映子です。今回は、「先物取引の利益、損失はどうやって計算するの?」という疑問にお答えします。

○表示されている価格と、取引している価格の違い

ためしに検索エンジンで「金先物」と調べてみると、経済ニュースとして「東京商品取引所の金先物が上昇した。1グラム4,535円と前日比0.4%高い」などと書かれています。もし実際に金先物を取引したとしたら、どのような損益計算になるのでしょうか。

実は金先物取引には「金標準取引」と「金ミニ取引」の2種類があります。まずは「金標準取引」で損益計算をします。

例えば、東京商品取引所の2018年3月1日の金先物価格(先限:受け渡し期日が最も先の月のもの)が4,498円、そして2か月後の2018年5月30日には4,530円になっていたとします。そこで、私たちは金標準取引で、4,498円で買い、4,530円で売ったとします。この時の儲けは、4,530-4,498 =32円になるのでしょうか。そうではありません。私達が実際に金標準取引で取引する単位は、「1キロ=1000グラム」。つまり実際に表示されている1グラムあたりの金先物価格の1,000倍の金額の取引をしているのです。このため、利益も32円ではなく、32円×1,000倍=32,000円となります。

○「レバレッジ効果」で大きなお金を動かせる

では、上記のように金先物の価格が4,498円の際、必要な投資金額も、その1,000倍の4,498,000円になるのでしょうか。これも、そういうわけではありません。ここが先物取引の大きな魅力なのですが、小額の資金で大きな金額の取引をすることができる(「レバレッジをかける」などと言います)のです。具体的にどういうことなのでしょうか。例えば金先物を取引したい場合、投資に必要となる資金は次の2つです。

(1)取引の担保として預託する「取引証拠金」
(2)商品先物会社に支払う「委託手数料」

まず、(1)の「取引証拠金」はどれくらい必要なのでしょうか。例えば金先物取引の場合、1枚(1000グラム)を買うのに必要な取引証拠金の額は最低66,000円です(2018年6月1日~15日)。なお、証拠金の額を「最低」としたのは、この66,000円は、投資家の取引証拠金を管理する日本商品精算機構が取引のリスクに応じて適宜定めている額であり、商品先物会社はそれと「同額以上」を投資家から徴収する決まりになっているからです。

次に(2)の委託手数料は、皆さんが取引をする際の窓口となってくれる商品先物会社によって異なります。ここではネット取引を想定して、1,000円とします。

よって、金先物取引において、1キロの金4,498,000円に投資するために必要な資金は、約67,000円という計算になります。このように、少ない元手で大きな取引ができることを「レバレッジ効果」といいます。なお取引証拠金は商品先物を取引するためのいわば担保金ですから、取引を終了すれば返金されます。取引が利益になっていれば利益金とともに自分の取引口座に振り込まれます。ただし取引が損で終わった場合は、取引証拠金から損金を差し引いた額が返金されることになります。

◯金ミニ先物取引の利益、損失はどうやって計算するの?

では、金先物だけでなく、「金ミニ取引」の損益計算も一緒にやってみましょう。なお、金ミニ先物では、金標準取引の10分の1に等しい100グラムを取引し、ゆえに取引証拠金も10分の1の額となります。つまり、最低の証拠金額は6,600円となる計算です。

取引の損益は、先ほど金先物取引の損益を一緒に計算した際と同じように、売値から買値を引いたものに、倍率(金先物価格の何倍の額を実際に取引しているのか)と枚数(取引単位)を掛け合わせると算出できます。

(売値−買値)×倍率×枚数=損益

ということになります。

金ミニ取引の場合、1円の値動きでも、倍率は100倍ですから100円の差損益となります。売った値段と買った値段の差の100倍だと思えば分かりやすいでしょう。例えば1枚取引する場合、「買い」で入れば、買った値段より1円高く売れば100円の粗利益です。逆に1円下がると100円の粗損失となります。価格が1円動くと100円の評価損益が生じるわけです。

最後にそこから手数料を差し引きすると利益、損失が計算できます。

その時その時の市場の環境によって値動きの大きさは違いますが、2018年3月は1日40円から60円くらいは動いている印象です。そのくらいの値動きでも金標準取引なら最低単位の1枚でも4,000円から6,000円の粗利益(粗損失)が出ますね。TOCOMこと東京商品取引所のホームページでも値動きが確認できるのでチェックしてみてくださいね。

“すぐ始めたい人のための「先物取引入門」”は、商品先物取引の基礎をフィスコの見解でコメントしています。

フィスコマーケットレポーター三井智映子





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