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ドル安に見る主要通貨の明暗【フィスコ・コラム】


ドル全面安という「地盤沈下」を受け、それ以外の通貨が浮揚しています。2018年は主要国の中銀が金利正常化を本格的に進める公算ですが、早くも明暗が分かれ始めました。今後はどの通貨が有望か、考えてみましょう。

年明け以降の1カ月は、ドルが全面安の展開となっています。アメリカのムニューシン財務長官のドル安容認発言や、利上げペース加速への期待を背景とした金利の急上昇とそれに伴う株安が直接的な要因です。それらに加え、トランプ政権による保護主義的な貿易スタンスが景気拡大の足かせになるとの懸念も、ドル売りにつながりました。逆に、ドル以外の通貨は上昇基調に振れています。

1月はユーロが相当に強含んだ印象でしたが、ドルに対して最も強かったのはポンドで6.6%上昇し、欧州連合(EU)離脱を決めた国民投票が行われた2016年6月の水準に回復しました。次いでスイスフランの6.0%、ユーロの5.2%と続き、欧州通貨の強さが目立っています。フランは逃避マネーの流入で押し上げられましたが、ポンドとユーロが堅調地合いとなったのは中銀による緩和的な金融政策の縮小方針を受けたものです。

その点ではオセアニア通貨も同じで、豪準備銀行とNZ準備銀行はいずれも政策金利を過去最低水準で維持しており、引き締め方針堅持の連邦準備制度理事会(FRB)との金利差は縮小する傾向にありました。豪ドルとNZドルは2019年以降とみられる引き締め時期をどれだけ前倒しできるかが焦点ですが、欧州通貨に比べると利上げのタイミングが遅れる分、両通貨の上昇は4%程度と小幅にとどまっています。

2月に入って開かれた豪準備銀、NZ準備銀、英中銀の政策決定は、スタンスの違いが鮮明にとなりました。豪準備銀は「目先の利上げを支持する強い根拠はない」(総裁)としたほか、NZ準備銀はインフレ目標の達成時期を2年先送りするなど、いずれも市場の予想に反してハト派寄りの見解を示しています。対照的に、英中銀は利上げに関し「昨年11月の想定より早期に必要になる可能性がある」と相当に強気です。

円はどのように動いたのでしょうか。主要国の中銀が金利正常化に向かうなか、日銀も「異次元緩和」を縮小しその流れに追随するとの思惑はくすぶり続けています。世界経済フォーラム(ダボス会議)で黒田東彦総裁が「一部の価格の上昇がすでに始まっている兆候がある」「目標にようやく近づいている」などと発言した際、今年最高値の108円28銭まで進んだ円高は、それを反映したものでしょう。

FRBの引き締め方針維持や米長期金利の上昇により、本来なら円はドルに対し下落方向に振れるはずです。しかし、主要国の金利正常化によるドルの優位性の低下で円選好地合いになりやすいほか、米国株の調整局面入りで日本株安に向かう可能性から、今後も円はかなり強くなりそうだ、と考えられます。その場合は「明」と「暗」のどちらに分類されるのでしょうか。






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