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コラム【アナリスト夜話】2022年は本当のDX元年(マネックス証券チーフ・アナリスト大槻奈那)


今年日本で最も進化したのは、官庁のデジタル化ではないでしょうか。6月に、規制改革推進会議は、2025年までに行政手続きの98%をオンライン化するという目標を公表しました。9月にはデジタル庁、11月にはデジタル臨調とデジタル田園都市国家構想実現会議も創設され、まさにデジタル一色です。

並行して民間でもデジタル化が進みました。しかし、その割にまだあまり成果が見えない印象です。

その原因の一つが、中小企業経営者の高齢化によるデジタル格差です。例えば、コロナ禍の経費の圧縮率を見ると、大企業は4.3%も減少していますが、中堅中小企業では2.3%に留まります(2021年9月末までの1年間と2019年の同期の差)。

しかし、この問題は来年以降に急速に改善するかもしれません。高齢者のデジタル意識は高まっています。今年初めの国際調査によれば、高齢者のIT機器(スマホ、PC、タブレット)の利用率は、欧米の50%程度に対し日本は28%に留まります。 ところが、IT機器を利用しない理由について、5年前に比べて「必要性を感じないから」と答えた人が大幅に減少した(70.4%→49.2%)のに対し、「使い方が分からず面倒だから」と答えた人が大きく(26.8%→50.3%)増えました。使い方さえわかればIT機器を使いたいと思う高齢者が増えていることは大きな進化ですし、政府も、こうした流れに沿って経営者のデジタル化支援を加速させる予定です。

もう一つ案外大きいと思うのは、キーボードへの慣れです。欧米では、タイプライターが1870年代に実用化されましたが、日本人が「ワープロ」を使い始めたのは1980年代と、100年以上違います。それでも、そろそろタイプ打ち文化も全世代でなじんできたのではと思いますし、文字が大きなIT機器も普及し、コロナ禍で閉じていた地方のパソコン教室等も再開しつつあるようです。

デジタル化は一定以上進まないと効率化に繋がりません。例えば電子決済でも、お札で払われる額が少し減っただけでは、お店の現金保管や輸送費用は変わりません。しかも、どこかに紙の手続きが残っているとデジタルの流れがそこで止まるので、経費ばかりが先行してしまいます。

日本は永らく「神の国」ならぬ「紙の国」などと揶揄されてきました。しかし、非効率と言われた日本だからこそ伸びしろがあります。来年以降、細切れだったデジタルの流れがシームレスになり、特にこれまで非効率だった地銀等の業界では、DX化の恩恵が一気に顕在化するかもしれません。

そんな期待とともに、2022年がみなさまにとって良い年となるようお祈りしています。


マネックス証券 チーフ・アナリスト 大槻 奈那
(出所:12/27配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋)


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