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コラム【新潮流2.0】:アブノーマルがニューノーマル(マネックス証券チーフ・ストラテジスト広木隆)


◆この時期には毎年同じことを書いている。「甲子園の熱闘が終わると、途端に秋風を感じる」と。ところが今年は季節のほうが少し先行している。今年の全国高校野球選手権大会は、五輪の開催時期とずらして9日に開幕予定だったが台風で順延。その後も雨が続き、46年ぶりの3日連続順延を含み、順延はこれまでで最多の計7日間。決勝は大会史上最も遅い8月29日となった。今後の天気次第では夏休み中に大会を終えられるのかという心配も出てきた。

◆1992年もバルセロナ・オリンピックと重ならないように8月10日に開幕し、さらに台風による順延があったが決勝は8月25日だった。いかに今大会が雨にたたられたのかがわかる。今年の夏は全国各地で大雨の被害が相次いだ。年を追うごとに豪雨の激しさが増している気がする。 「異常気象」とは、数十年間に1回程度の現象、あるいは人が一生の間にまれにしか経験しない現象と気象庁は定義しているが、このような気象現象が毎年のように起きているのだから、もはや「異常」ではないだろう。

◆ひと月ほど前の日経新聞は、気候変動リスクに関する開示を企業に義務付けることを金融庁が検討、と報じている。早ければ2022年3月期の有価証券報告書から開示を義務付ける可能性があるという。コーポレートガバナンス・コードでも、プライム市場に上場する企業に対して、気候変動に係るリスクの開示を求めている。

◆企業にとっては大変な負担だが、これらの開示の巧拙が企業価値を左右する時代になっているのだ。投資家にとっても分析項目が増えて大変だ。四半期決算で業績を追いかけるだけでは、もはや足りないのだ。 しかも、これらの非財務情報はESG、サステナビリティ、気候変動情報と呼称が違えば内容も少しずつ異なっているうえ、統一された基準やフォーマットもまだ整備されていない。頭の痛い問題だ。しかし避けては通れない。これが「異常気象」がアブノーマル(異常)でなくなる時代の、投資における「ニューノーマル(新常態)」なのだから。

マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆
(出所:8/23配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より抜粋)


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