幽霊艦隊はどこに向かうのか−米海軍USV開発の動向−【実業之日本フォーラム】
トランプ政権下で海軍は、当時300隻を下回っていた主要艦艇の隻数を350隻まで増強することを明らかにした。米海軍情報部は、2020年時点で、米海軍296隻に対し中国海軍は333隻の主要艦艇を保有しており、2030年には425隻まで増加するとの見積もりを明らかにしている。海軍の能力を隻数だけで判断することはできないが、この量的劣勢は心理的にも大きな影響を与える。2021年6月、米海軍は艦船建造に関する今後30年間の計画を公表した。国際情勢や財政状況を考慮し、一定の幅を持たせた計画となっている。その計画では、米海軍が保有する主要艦艇の総数として、有人戦闘艦艇321~372隻、無人水上、海中艦艇(USV、UUV)77~140隻、合計398~512隻という数字が示されている。USVやUUVは小型であり、戦闘の補助的役割を果たすというイメージがあった。しかしながら、中国海軍の量的優勢に対応するためには、単なる補助的な役割ではなく、戦闘艦艇として有人艦艇と同等の能力を果たすことが求められていると考えられる。
米海軍において装備の研究開発を担当する「海軍海上システム司令部(Naval Sea Systems Command)」は、USVを5つのカテゴリーに分類している。全長7m以下を「Very Small」、7m~12m以下を「Small」、12m~50m以下を「Medium」、50m以上を「Large」とし、Largeより大きいもののうち100mを超えるものを「Extra Large」としている。海軍の艦船建造計画では、「Medium」に前方展開型センサー、ノードとしての役割を、「Large」に武器プラットフォーム、弾薬等の運搬そしてセンサーとしての役割を、そして「Extra Large」に多目的な役割を期待するとしている。同計画には「Small」及び「Very Small」のUSVに対する記述はないが、「Very Small」については、一定数の「群れ」で行動する「Swarm」の研究が進められている。東京オリンピックの開会式では、1,824台のドローンによる集団飛行が眼を引いた。三次元の動きをするUAVより二次元の動きしかしないUSVに集団行動をとらせることは比較的容易である。
USVの利点は、乗組員の生活のためのエリアや人員防護のための装備が必要ない事である。建造費が安価となるだけでなく、同じ大きさの有人艦艇と比較すると、多くのペイロードを運搬することが可能であり、ミサイル等の武器をより多く搭載できる。しかしながら、USVに攻撃能力を付与することについては、米国議会を中心に疑問が呈されている。
米海軍のUSV運用構想においては、武器使用に至るプロセスでは必ず人間による判断を求める段階を踏むこととされている。しかしながら、実際の戦闘現場にいない人間による判断にはいくつかの問題点が指摘できる。
第一に、攻撃を決断する各種情報が正確に伝達されているかという問題である。米無人航空機による誤爆で民間人が死亡する事故が多数報告されている。戦闘時に民間人や味方を攻撃してしまうことは、過去の戦闘でも生起している。しかしながら、無人機による攻撃は、自らを安全な場所に置きながら、相手を殺傷することから、より、その非人道性がクローズアップされる。
次に、実際に引き金を引く人間のメンタルに与える影響である。双方が同じ戦闘状況下にあれば、やらなければ、やられるという意識から相手を殺害することも正当化される。しかしながら、自らは安全な場所にいて、相手を殺害するという行為は人に大きな心的ストレスを与える。2015年6月19日付のニューズウィーク紙は、無人攻撃機のパイロットの多くが心的外傷後ストレス障害(PTSD)にかかっていると伝えている。
最後が、戦闘というものの本質にかかわる問題である。人と人が殺しあうというのが戦闘であり、自分が傷ついたり、死んだりするのが嫌だということで、戦闘によらない解決を目指すというのが外交交渉を行う理由の一つである。自分の身体が傷つく可能性がない戦闘では、PTSDにかかるリスクを考慮しても、戦闘を避けるというインセンティブが働きづらい。国家の政策決定者が、外交問題を解決する際に、自国民が傷つかないというということは、戦争という手段を選択するハードルを下げる効果があると思われる。
USVに限らず、無人兵器を運用する場合には、上記問題をいかに解決するか、考え方をどのように整理するかという事が大きな課題となる。そして、これらの課題は、自国のみではなく、国際的なルールとして確立する必要がある。
USVの研究開発が進めば、将来的には有人戦闘艦艇と無人戦闘艦艇のコラボレーションが進んでくると考えられる。現在、米海軍空母機動部隊は原子力空母と複数隻の護衛艦艇で構成されている。複数の護衛艦艇を指揮する司令部は航空機運用との連携を考慮し、空母に同乗する。将来的には、空母を護衛する無人艦艇群を空母からコントロールするという作戦となるであろう。さらには、より小型のUSVが情報収集や通信中継のノードとして全世界の海域で行動することも考えられる。人が乗らない艦隊、幽霊艦隊が世界各地の海を遊弋する時代が間近に迫っている。自律行動しているUSVを含む無人攻撃兵器が、サイバー攻撃により乗っ取られ、突然暴走する事態も当然考えられる。攻撃を受けている側から見ると、この行動はサイバー攻撃を受けて暴走している状態なのか、国家意思としての攻撃なのか判断することは非常に難しい。
第四次産業革命と言われるIT技術の発達により、武器の無人化が進むことは不可避である。人の介在が少なくなればなるほど、実際の戦闘において、このまま進んでいいのか、というチェック機能が減少する。軍事装備の無人化は、国防関係者のみに任せておくことはできない大きな問題を抱えており、国際的枠組み作りや開発状況を注視していく必要があるものと考える。
サンタフェ総研上席研究員 末次 富美雄
防衛大学校卒業後、海上自衛官として勤務。護衛艦乗り組み、護衛艦艦長、シンガポール防衛駐在官、護衛隊司令を歴任、海上自衛隊主要情報部隊勤務を経て、2011年、海上自衛隊情報業務群(現艦隊情報群)司令で退官。退官後情報システムのソフトウェア開発を業務とする会社において技術アドバイザーとして勤務。2021年から現職。
写真:textronsystems (https://www.textronsystems.com/products/cusv)
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