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日本企業の問題の背景(1):戦前の75年間【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】


2020年12月22日に「企業組織の変革に関する研究会」が開催された。「日本の組織を開放し、個人が組織に縛られすぎず、自由に個性を発揮しながら、付加価値の高い仕事ができるよう、日本の組織の変革に関する課題を検討する」ことが研究会の趣旨として掲げられており、2021年夏には報告が取りまとめられる予定である。この研究会の第1回会議では「プロジェクトT報告書」が配布された。当研究会に先駆けて、2019年12月から2020年9月にかけての議論を経てとりまとめられたものである。この報告書では「日本企業の問題の背景には、日本全体に広がる、組織の硬直化があるのではないか」との仮説が提示されている。

近代化前半の75年を、(1)明治維新の元勲が国を引っ張った1910年頃までの前半と、(2)軍人・官僚など学歴エリートが中心となった1945年までの後半に分けている。日本社会が活性化した前半の時期には、実力主義で若者を抜擢して活躍させた一方、日本社会が転落した時期には、個人より組織の力が強くなりすぎ、組織の論理が国益に優先する傾向にあったことを指摘している。明治維新では、身分を問わず、実力主義で優秀な若手が抜擢された。明治元年の1868年においては、西郷40歳、大久保38歳、木戸35歳、板垣31歳、伊藤27歳であった。

戦前の教育システムでは、国家全体の利害を考えるリーダーを再生産できなかった。欧米諸国を参考にした組織の秩序が確立すると、組織の論理が個人を強く縛るようになり、異分子や独創性を排除するとともに、組織内で事なかれ主義・思考停止が蔓延した。その結果、組織の論理に極めて忠実な学歴エリートがリーダーとなるようになり、組織の利害を超えた、国全体の利益を考える全体調整が機能しなくなった結果、国家の舵取りを誤るに至った。
太平洋戦争までの意思決定の経過を見ると、日本の場合、他国と異なり、リーダーが強引に政策を進めることは少なく、陸軍・海軍や中央省庁など組織の利益を代表する優秀な学歴エリートが、集団で討議し意思決定を行うことが一般的であった。個人で見ると、優秀な学歴・職歴を持ち、組織内で高く能力を評価された者であっても、意思決定の場面で組織の利益を主張し、国家全体を見渡した大局的な意思決定が出来なかったことが、国の方針を誤った最大の要因とされている。
(株式会社フィスコ 中村孝也)

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