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コラム【アナリスト夜話】米銀決算とリテール金融ブーム(マネックス証券チーフ・アナリスト大槻奈那)


昨日の朝は、NYから金融関連のニュースが相次ぎました。ウォルマートの新フィンテック会社創設と米住宅ローン大手ローンデポ(loanDepot) のIPO発表です。ローンデポの時価総額は、推定120~150億ドル程度と、上場当初から日本の三井住友トラストホールディングス<8309>を上回る可能性があります。

米国では、リテール金融がブームです。例えば、新興オンライン証券ロビンフッドのiphoneアプリは、10月のハッキングや、直近の罰金などで揺れているにも関わらず無料アプリのトップ10に入る人気です。暗号資産取引所のコインベースも、最近ランク外から全米30位に躍り出ています。貸出サイドでも、住宅ローンの実行額が過去最大レベルとなっています。

昨年の米金融セクター株は、S&P500指数が16.3%上昇したのに対し、4%下落で引けました。が、年初からは逆に、S&P500を4ポイント以上アウトパフォームしています。金利高に加え、先月後半に、銀行への株主還元禁止措置が解除されたことなども好材料となっています。足元のリテール金融ブームは、大手行には脅威にも見えますが、グループ内でもブームを取り込む動きも出ており、共存共栄ができそうです。

今週金曜日から米金融機関の通期決算発表が始まります。15日金曜日にJPモルガンチェース、シティグループ、週明け月曜日にバンクオブアメリカ、ゴールドマン、火曜日にモルガンスタンレーと続きます。貸出は大きく増加しており、トレーディングやIPOなどの投資銀行業務も堅調と見られます。 貸倒コストの増加が懸念材料ですが、今のところ米国の倒産件数はむしろ減少しており(米倒産機構ABIのデータ)、大手行が影響を受けやすい商業倒産件数も前年比3割増程度と、パンデミック発生時の想定よりは低位に留まっています。

今年は、ローンデポ以外にも金融関連のIPOもいくつか予想されています。金利環境次第では、久々に金融株のリベンジの年となるかもしれません。

マネックス証券 チーフ・アナリスト 大槻 奈那
(出所:1/12配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋)

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