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休業要請継続による日本企業の手元資産への影響【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】


5月4日、新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態宣言が5月末まで延長することが決定された。それにあわせ、13の特定警戒都道府県では休業要請の継続が決められている。

操業停止や休業によって売上が計上できない場合、給与等の固定費は現預金等の手元資産から拠出せざるを得なくなる。法人企業統計の全規模、全産業を対象に分析すると、463兆円の手元資産(現預金、受取手形、売掛金)は、253兆円の固定費(役員給与・賞与:27兆円、従業員給与・賞与:158兆円、福利厚生費:24兆円、支払利息:6兆円、不動産・動産賃貸料:27兆円、租税公課:11兆円)に対して、1.83年分という計算になる。なお、1,535兆円の売上高が3割減収すれば、税引利益は▲12兆円に減少すると見込まれるが、キャッシュフローは25兆円とプラスが見込めると予想されている(減価償却費:37兆円)。

一方、中小企業の状況はより厳しい。エヌエヌ生命によって3月下旬に実施された中小企業経営者調査では「新型コロナウイルス感染拡大がいつまでに終息すれば経営的に乗り切れるか」という質問に対して、「3月末」から「6月末」との回答が計6割に上った。

実際に法人企業統計の資本金1,000万円未満の全産業を対象として分析すると、39兆円の手元資産(現預金、受取手形、売掛金)は、40兆円の固定費に対して、0.98年分という計算になる。業種別に見ても、22業種で固定費を1年未満しか賄えないという厳しい状況が見て取れる。134兆円の売上高が3割減収すれば、税引利益は▲5兆円に減少、キャッシュフローは▲0.5兆円と、キャッシュフローもマイナスに転じる公算が予想されている(減価償却費:4兆円)。

(株式会社フィスコ 中村孝也)



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