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コラム【アナリスト夜話】:金利がなくても金融機関の危機は遠いと考えられる理由(マネックス証券チーフ・アナリスト大槻奈那)


過去2週間、米金利が激しく低下しました。10年国債利回りの低下幅は0.71%と、過去30年間でリーマンショック後に次いで2番目の大きさとなりました。イタリアなどの金利も下がり、一瞬、G7全ての国の10年国債金利が1%を切る世界に突入しました。リスクテイクの冷え込みを如実に表しています。

そして、今回初めて、ゼロ金利の企業向け貸出が日本に登場します。先週末に発表された政府の企業支援策です。加えて、民間金融機関にも貸出条件の緩和を求めると発表されました。

経済が混乱している時の金融機関は、資金のポンプとしての役割を強く求められます。そんな中で銀行株はどう評価されるでしょうか。銀行に限らず、こうした社会の公器としての役割を求められる時の企業は、アップサイド狙いの株式投資には向かないでしょう。株主よりも、社会への経営資源の分配を優先しなければならないためです。

一方米国はどうかというと、先週末、米国の預金保険機構(FDIC)が、大規模なリストラを発表し話題になりました。FDICは、リーマン後に500以上の金融機関を整理してきましたが、この3年は年間5件以下と落ち着いてきました。

とはいえ、例えば、今の局面の日本で、金融機関のセーフティネット機能の縮減は絶対にありえないでしょう。この点で、米国では金利や株価が下がっていても、金融危機の不安感は薄い印象です。

一部試算では、新型コロナのGDP影響は約2%とリーマンショック時と同程度落ち込む可能性があるとされています。しかし、金融の中心地・米国の金融機関倒産リスクが低いと当局自身から見られていることは一定の安心材料になるでしょう。

マネックス証券 チーフ・アナリスト 大槻 奈那
(出所:3/9配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋)




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