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コラム【アナリスト夜話】:一言で2兆円を吹き飛ばす、中国ハイテク産業の脅威(マネックス証券チーフ・アナリスト大槻奈那)


先週末は、ビットコインの約10%下落という寝覚めの悪いスタートとなりました。原因は、中国政府が、デジタル決済手段DCEP = Digital Currency Electronic Paymentの準備に触れるとともに、暗号資産取引への取り締まりを強化すると発表したことです。

こうしたデジタライゼーションにおける中国の注目度は、今や米国を凌ぐレベルかもしれません。5Gはいうまでもなく、最近中国が「中核技術」に位置付けたブロックチェーンの特許数は今や米国の3倍です。昨年の調査によれば中国の研究費は45兆円余り。日本はその半分以下というだけでなく、国が資金を出す研究の「選択と集中」が、科学技術を「殺している」とする説もあります(「誰が科学を殺すのか(毎日新聞社)」)。

とはいえ、中国の技術発展も盤石ではありません。先日、米市場に上場する中国企業について、「開示が不十分なら上場を廃止すべき」という提言が米議会に提出されました。これらの多くはテクノロジー企業です。今後の米中摩擦の本丸は、科学技術にシフトしていくでしょう。

そんな障害にも関わらず、中国の方々は自信をにじませます。つい最近、ある知人が北京を訪ねた時のこと。現地の人々に、「数々の意欲的な計画は本当に実現できるのか?」と尋ねたところ、抜けるような青空を指さして曰く、「この空を見てください。我々は宣言通り、瞬く間に大気汚染問題を解消し、この青空を取り戻しました。」

中国はまだ株式の投資先としては未成熟ですが、1つの発言で暗号資産の時価総額を2兆円も吹き飛ばすほどの影響力です。そのみなぎる自信と底力からはますます目が離せなくなっています。

マネックス証券 チーフ・アナリスト 大槻 奈那
(出所:11/25配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋)




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