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アマゾン・エフェクトの脅威vol.1 アマゾンによる米小売業の大変革期【フィスコ 株・企業報】


◇以下は、FISCO監修の投資情報誌『FISCO 株・企業報 2018年冬号 −10年後の日本未来予想図』(10月5日発売)の特集『アマゾン・エフェクトの脅威』の一部である。全9回に分けて配信する。


米アマゾン・ドット・コムの急成長・急拡大による市場での混乱や変革。一大現象となっているアマゾン・エフェクト。実店舗からオンラインへと消費者購買行動が移行し、米国内の百貨店やショッピングモールが閉鎖に追い込まれるなど、既存の消費関連企業に衝撃をもたらした。同社のさらなる買収や事業拡大は他の分野にも広がっており、その影響で収益低下が見込まれる「アマゾン恐怖銘柄指数」なるものまで設定された。アマゾン・エフェクトとはいかなるもので、これから日本にもどのような影響を及ぼすことになるのか。アメリカで起こったことを検証しながら考察してみた。

■死屍累々となっているアメリカの小売業

現在、アメリカでは小売業の大変革期が訪れている。2018年、アメリカでは3800以上の店舗が閉店するとみられている。3月15日に玩具販売大手トイザらスが、米国内の全735店を閉鎖し、米国事業を清算すると破産裁判所に届け出たことを発表した(米国と日本は別法人のため、日本の店舗は米国事業清算の影響を受けず、その後も営業を続けている)。

6月には、米小売りシアーズホールディングスが2~4月期決算で、最終赤字4億2400万ドル(約460億円)を計上。総売上高は26四半期連続で減少しており、傘下チェーンのシアーズ、Kマートの不採算72店を閉店すると発表した。

アパレル業界でも、2017年9月に日本でもおなじみのギャップが不採算に陥っている店舗約200店の閉店を発表している。このような大規模チェーンの店舗閉鎖に関するニュースはもはや日常茶飯事だ。小売業が低迷すれば、その影響は周辺にも及ぶ。

たとえば、郊外のショッピングモールに入居していたトイザらスやギャップといった大型店舗が撤退を余儀なくされれば、テナントを失ったショッピングモールも運営が難しくなる。アメリカのショッピングモール運営会社は、大型店の集客力を当てに
して入居する小型店に対し、大型店が撤退すると賃料を減額するか、または賃貸を解消できる契約を結んでいるという。

つまり大型店が撤退すれば、大型店の賃料がなくなるだけでなく、訪れる客は減少し、それに加え小規模店の賃料も減る、または撤退を促すという負の循環を発生させる。その結果、体力のないショッピングモールが全米各地で営業を続けられなくなり、そのまま廃墟と化してしまうケースも増えている。

小売業がここまで壊滅的な状況に陥った最大の要因は、言うまでもなく、アマゾン・ドット・コム(以下、アマゾン)を中心としたオンラインショッピングの興隆だ。

消費大国アメリカを象徴するショッピングモールから客が消えていく今、時代は間違いなく大きな転換点に差し掛かっている。

■アマゾンのこれまでを簡単に振り返る

いわずと知れたアマゾンだが、その歴史と概要を簡単に振り返ってみよう。現在アマゾンは、アメリカのほか、日本、中国、インド、シンガポール、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、スペイン、イギリス、カナダ、メキシコ、オーストラリア、ブラジルの全16カ国で事業展開している。
創業は1994年、創業者ジェフ・ベゾスによって設立されたアマゾンは、翌年にオンライン書店「Amazon.com」のサービスを開始した。サービス開始後の最初の2ヵ月で、アマゾンはアメリカの50の州すべてと、世界の45カ国以上で書籍を売り上げた。その後、順調に事業を拡大し、1997年5月にはNASDAQに上場している。赤字経営を続けていたが、2001年第4四半期になって、開業以来、初めて利益を計上した。

2018年7月に発表した2018年4〜6月期は、四半期ベースの純利益は過去最高となる、25億3,400万ドル(約2,800億円)だった。利益率の高いクラウドサービス(後述)や広告事業が大きな利益を上げ、その潤沢な資金を使って、米国外や新規事業に投資を行う好循環が生まれている。

創業以来、アマゾンは取り扱う商品のジャンルを拡大してきた。当初の本・雑誌(和書、洋書)から、CD、DVD、PCソフトウェア、ゲーム、エレクトロニクス、文房具・オフィス関連用品、ホーム&キッチン、おもちゃ&ホビー、スポーツ、ヘルス&ビューティー、コスメ、時計、ベビー&マタニティ、アパレル&シューズ、ジュエリー、食品&飲料など、ありとあらゆる商品を取り扱う総合オンラインストアになっているのはご存じのとおりだ。
(つづく~「アマゾン・エフェクトの脅威vol.2 アマゾンの急成長【フィスコ 株・企業報】」~)




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