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NYの視点:円売り持ち増:今週の注目:パウエルFRB議長、米雇用統計、ISM


短期投機家・投資家ポジションで円の売り持ち高は前々週に続き増加した。ユーロも買い持ち高が増加。市場が依然ユーロの買い持ちに傾斜しているため、ユーロの上値をさらに抑制することになる。

今週は引き続き貿易摩擦、新興諸国通貨動向、ブレグジットを睨んだ展開となる。米予算の一部が成立し、政府機関閉鎖はとりあえず12月まで回避。年あと1回、12月の利上げ見通しがより確実視される中、パウエルFRB議長の発言が材料視されるほか、最新の雇用統計やISM製造業、非製造業指数で利上げ軌道が正当化するかどうかを確認していく。雇用統計では非農業部門雇用者数の伸びが先月から若干鈍化する一方で、失業率が一段と低下する見込み。引き続き賃金動向に焦点が集まる。平均時給は前年比で+2.8%と、8月+2.9%から鈍化する見通し。賃金の伸びが依然低調で、利上げペースを加速させる必要性はいまのところ見られない。米連邦準備制度理事会(FRB)は先週開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で予想通り、本年3回目の利上げに踏み切ったあと、今年あと1回の利上げと来年3回の利上げ見通しを維持した。

また、債務懸念が浮上したイタリアは格下げ懸念が広がり、さらなるユーロの売り圧力となる可能性がある。英国のメイ首相は保守党大会で首相の欧州連合(EU)離脱案に関して重要な局面に直面する。

北大西洋自由貿易地域(NAFTA)改定に関する米国とカナダの協議では決着がつかず、米国はメキシコとの2国間協定にとどめる可能性が強まった。ライトハイザーUSTR代表はメキシコ政権が交代する前に署名することが最優先課題とした。また、トランプ大統領もカナダの交渉方針に不満を表明し、トルドー首相の会談の申し出を断った。

米中貿易摩擦問題もくすぶる。米国政府は24日、2000億ドル相当の中国製品に対する関税を発動。総額で2500億ドル相当の中国製品に関税を賦課した。残り2670億ドル相当の中国輸入品、全中国輸入品への関税発動も辞さない構え。中国も速やかに報復措置を講じ、合計で1100億ドル相当の米国輸入品に関税を課した。中国の2017年度の米国輸入量が1300億ドル相当なので、ほぼ全輸入品への関税が課されたことになる。このため、さらなる米国の関税発動への報復は、人民元安、米国債購入を控える選択肢になると見られる。

■今週の主な注目イベント

●米国
10月
1日:ボスティック米アトランタ連銀総裁、
カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、
ローゼングレン・ボストン連銀総裁が講演
9月ISM製造業:予想60.0(8月61.3)

2日:パウエルFRB議長がNABE年次総会で演説、
クオールズ米連邦準備理事会(FRB)
副議長が上院金融委で証言「経済の成長履行、規制緩和、消費者保護」

3日:エバンス・シカゴ連銀総裁がロンドンで講義
バーキン米リッチモンド連銀総裁、
ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁がバージニアで講演、
メスター・クリーブランド連銀総裁が講演、

9月ISM非製造業指数:予想58.0(8月58.5)

4日:クオールズ米連邦準備理事会(FRB)副議長が演説、
クドロー国家経済会議(NEC)委員長、
ワシントンエコノミッククラブでイベント参加

5日:9月雇用統計:予想:失業率:3.8%(8月3.9%)、
非農業部門雇用者数:予想:+18.5万人(8月+20.1万人)、
平均時給:予想前月比+0.3%(+0.4%)、
前年比+2.8%(+2.9%)、
8月貿易収支:予想:−524憶ドル(7月—501憶ドル)

ボスティック米アトランタ連銀総裁講演

●中国
30日:9月製造業PMI:予想:51.2(8月51.3)、
非製造業PMI:予想54.0(8月54.2)

●日本
10月
1日:短観

●英国
3日:メイ首相が保守党大会で演説

●地政学的リスク

トルコ
北朝鮮
イラン
ガザ紛争
イラク、イスラム過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」
シリア
イエメン



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