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コラム【アナリスト夜話】:邦銀がJPモルガンに勝てない惨状~日銀はどう見るか?(マネックス証券チーフ・アナリスト大槻奈那


先週、アップルの時価総額が1兆ドルを超えたことが話題になりました。これは、ソフトバンクの10倍です。

さすがアメリカ、ハイテク王国…と思いきや、銀行業界の日米格差もかなり大きくなっています。

銀行業界で世界一の時価総額は、米JPモルガンの43.8兆円です。実は、7月以降、JPモルガンの時価総額は日本の上場銀行の時価総額の合計を上回っています。買収プレミアム等を無視すれば、JPモルガン1社の株で日本の銀行全部を買っておつりがくることになります。

2006年、政策金利が0.5%だったころ、JPモルガンと日本最大のMUFGの合計はほぼ拮抗していました。しかしリーマンショック後じりじりと格差がつき始め、マイナス金利導入後に一気に突き放されました。

MUFGの預金総額は176兆円と、JPモルガンの160兆円を上回ります。個人顧客数でも、MUFGの4000万口座は、1800万の家計が口座を持つとするJPモルガンに引けを取りません。しかし、日銀の異次元緩和以降、これらを日本では収益化できません。

バブル期の80年代後半、山手線内の土地だけで米国全土が買えると言われていました。今の銀行業界はその逆です。当時は、東京の潜在力や米国の非効率性などで説明されていました。しかしやはり極端な価格差は長続きせず、東京の下落と米国の上昇とで地価の格差は調整されました。

銀行株の日米格差も、同じように調整される日が来るのでしょうか。先週、日銀が政策を微調整しましたが、これでは邦銀の収益押し上げには全く不十分です。更なる調整に向けての“お試し”だったととらえ、もう少し短期ゾーンの金利調整に踏み込むのを待ちたいと思います。

マネックス証券 チーフ・アナリスト 大槻 奈那
(出所:8/6配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋)




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