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【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(3):◆チャイナリスクは織り込んではいない公算◆



〇海外勢の勢い止まらず、米株高に追随〇

日経平均は、日銀不在のまま16連騰に記録を伸ばした。日銀不在記録は14年5~6月の18日だそうで、16年8月に年6兆円(新型ETFを除くと5.7兆円)の買い枠になってからは最長。9月末までの購入累計は4兆3242億円、残り1.37兆円ほどの枠がある。営業日数で割ると、毎日300億円の購入計算になる(最後の9月29日は739億円)。含み益が膨れ上がっているので、別に枠を残すのも妥当と見られるが、「ETF購入見直し」の声が出てきそうだ。

海外勢の買いは先物主導か、現物中心か、分からないが、長期投資家が動いているとの声は出ている様だ。気が付けば、メルケル独政権を上回る最も安定した政権との評価。世界各国から祝意が寄せられ、安倍外交の実績を示す。ただ、21000円、21500円で売りポジションを組んだ短期筋の買戻し(特にコール売りの機関投資家のヘッジ買い)との見方も根強い。後者だと反落しやすい。

最大の上げ材料は「企業業績期待」で、昨日引け後も日本電産、住化、栗田工、キヤノンなどが上方修正を発表している。一昨日発表分では安川電機、コーセーなどが下落しており、先回り買いなどの個別事情で短期的な株価反応は分かれるが、米株のように集中買いの動きにはなっていない(昨日のNYダウ167ドル高のうち、135ドル分がキャタピラー、スリーエムの分)。また、米金利上昇による円安含み推移が下支えする。米10年物国債利回りは5月以来の2.4%台乗せ。3月の2.61%に迫れるかが焦点。2年債入札が行われ、最高落札利回りは1.596%と9年ぶり高水準。

一方、リスク要因は一時的に掻き消されている。展開予測不能な北朝鮮リスクが無視されるのは納得が行くが、日本企業の足元収益で依存するチャイナ・リスクを何処で気にしてくるかが焦点と思われる。「習近平思想」が党規約に盛り込まれ、後継を指名せず長期政権化を図っている流れは無視するとしても、以下の点は注視せざるを得ない。

「軍に対する党の絶対的指導」(旧瀋陽軍区などとの摩擦リスク。対北朝鮮姿勢に表れると見られる)、「汚職撲滅の継続」(上海閥や団派との権力闘争再燃リスク)、「一帯一路の推進」(雑な計画で各地で空回りしている印象が強く、資金源も不透明。新興国リスクを米国務長官が警告)、「供給面の改革」(巨大合併を本格化させるのか)、「市場原理の決定的役割」(統制経済化の流れで、人民元相場を含め齟齬多発リスク)など。また、周小川・人民銀総裁が警告したミンスキー・モーメント(金融レバレッジの生み出すクレジットサイクルと金融の不安定性を指摘した経済学者の名前が冠された資産バブル崩壊リスク)に注意を要しよう。09年以降急拡大した民間非金融部門債務と地方政府債務の膨張などに警戒ムードが強い。今までは香港株急落なども乗り切って来たが、何処で反応するのかが焦点と考えられる。

以上


出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/10/25号)



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