ドッド・フランク法の廃止か? ドナルド・トランプ大統領は、米国のFX業界を変えるだろうか?
ドナルド・トランプが2016年末の選挙期間中に行った多くの選挙公約のなかで、外国為替やCFD業界の注目を集めたものがひとつあった。それは、巨大な金融市場のひとつのイメージを抜本的に変えてしまった「ドッド・フランク・ウォールストリート法」と呼ばれる2010年に成立した法律を制限するか、あるいは完全に排除するかであり、そうした意向を、ドナルド・トランプ大統領がつい先日に表明した。
「ドッド・フランク・ウォールストリート法」とは、「米国の金融規制改革法。上院銀行委員長のクリストファー・ドッドと下院金融サービス委員長のバーニー・フランクの二名の姓を取って通称される。ドッド=フランク法は、1920年代の米国で金融的投機がもたらした世界金融不安および大恐慌の発生を根絶するため成立したグラス=スティーガル法の現代版である。金融機関の説明責任と透明性を向上させることで米国の金融安定性を促進し、『トゥービッグ・トゥーフェイル』を終わらせ、納税者のため特定の企業への財政出動を終わらせ、新たな金融危機を防止するための堅固な経済基盤を創出する』ことを目的として冒頭に掲げている。具体的な内容としては消費者金融保護局をFRBの中に置くこと、ボルカー・ルール、システム上重要な金融機関(SIFIs)の監視の強化、連銀法の修正などである」(www.kotora.jp/industry_info/systemic02.phpより引用)。
米下院は6月初めに、この法律を緩和するための投票を行ったが、ブローカーにとって、今だにアメリカ国内でビジネスを展開するのは不可能であり、現在、FXのサービス活動を行っているのは4社しかいない。
FinanceMagnatesは、2008年の危機以来、何が米国で大きく変化したのか、デリバティブ業界に密接に関係しているものは何かという疑問の答えを求めて、四半期業績報告書の最新版でドナルド・トランプが公約に挙げたことを精査している。
バラク・オバマがドッド・フランク法に署名する前に、アメリカのトレーダーは40のオンライン・プロバイダーと外国の金融会社全体のサービスを利用することができた。現在、この数値はわずか4に減少しており、海外のブローカーは米国市民にサービスを提供することができない。
米商品先物取引委員会(CFTC)によって施行されたドッド・フランクの規則によれば、外国為替市場における取引サービスの提供を希望する企業は、最低2000万ドルの資本を維持しなければならないとある。さらに、もし、投資家に対するブローカーの負債が1000万ドル以上あるのならば、その金額は増加する。そのような場合には、認可を受けている企業の純資本要件は、その金融債務の合計の5%を増やさなければならない。たとえば、金融債務が1500万ドルであれば、ブローカーは利用可能な資金を7500万ドル増額する必要があるということだ。これに加えて、米国でのブローカーライセンス取得には2年ほどかかることがある。
最大レバレッジは50倍、ヘッジの禁止、FIFO(先入れ先出し)ルールの実行などの条件を追加すると、ブローカービジネスの条件は非常に厳しい。キプロス証券取引委員会(CySEC)と英国金融行政機関(FCA)が大幅に低い要件を課している欧州と比べると、ブローカービジネスは非常に困難である。
トランプ政権は、市場の強化を制限する規則を調整すべきである。ヨーロッパの管理委員会の経験を駆使しながら、米国のFX業界を変えるには、いくつかの重要な課題がある。
まず第一に、アメリカの顧客には選択肢があるはずである。米国以外のブローカーからの切り離しは、自由を制限し、適切な保護を提供しない。2017年第1四半期の収益性統計によれば、トレーダーの平均収益は40%と非常に良好な結果であり、米国の投資家は、自分の資金を増やす方法を知っていることを示している。
規制当局自身が市場をより魅力的にし、アクセスを簡素化することが必要である。PAMM口座の利益と欧州の資本要件の調整は、間違いなく新しい業界各社を魅了するだろう。キプロスのライセンスが認可される期間は3〜6カ月であり、英国でも最大15カ月である。しかし、米国では規制を簡素化し、プロセス全体の複雑さを削減することも不可欠なステップであるように思えるが、最終的な承認を得るまでには最大2年かかる場合がある。
ドッド・フランク法の最初の変更はすでに発表されているが、FX/CFD業界にはまだまだ遠い道のりが残されている。これまでのところ、ブローカーは現実をそのまま受け入れ、将来の変化に備えて、米国市場で最大限の活動を行っている。
出典:FinanceMagnates
【ニュース提供・エムトレ】
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