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NYの視点:ドラギECB総裁は長期にわたり警戒体制維持か


欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は非公式な夕食会で任期満了となる2019年10月まで、ECBが緩和策を維持することになるだろうと予想していることを明らかにした。フランスの雑誌社が伝えた。最近の指標からインフレが上昇し、経済も最悪期を脱した証拠が出始めたことから一部ではECBの次のステップは緩和策の解消だとの見方も浮上。しかし、ドラギ総裁は今月の定例理事会後の会見で、最近のインフレの上昇がエネルギー価格が下げ止まったことが主要因で、依然、抑制されたままだとの見解を示した。経済見通しのリスクも「依然下向き」で、域内経済には依然緩和策が必要だと指摘した。

2017年は欧州最大の経済を持つドイツ、第2位のフランスで総選挙が行われる。ポピュリズムの台頭から、選挙で予想外の混乱、イベントが生まれる危険性も除外できない。加えて、イタリアやギリシャの債務危機が再燃する危険もとりざたされている。国際通貨基金(IMF)はギリシャの債務状況に改善は見られず終わりのない救済策で、対ギリシャの救済に難色を示し始めた。IMFが発表したギリシャに関する報告書で、対国内総生産(GDP)比180%のギリシャの債務は持続不可能だと指摘。また、ギリシャの債務は2030年までにいったん低下したのち2060年に向けて再び拡大に転じ、対GDP比275%に膨れ上がると試算している。ユーロ圏諸国がギリシャ債務の削減に踏み切らない限り、ユーロ圏の将来の脅威になると警告した。これに対し、欧州連合(EU)はIMFの報告書は悲観的過ぎるとし、ギリシャの経済は回復基調にあり予想より状況が改善していると反発。ドイツのショイブレ財務相は「債務削減の選択肢は除外する」としたほか、「ギリシャが債務削減を勝ち取るためにはユーロを離脱する必要があるかもしれない」と強気の態度を崩していない。

また、英国の欧州連合(EU)離脱も3月末ごろに基本条約(リスボン条約)50条を発動し正式に欧州に離脱の意向を伝えたのち、2年余り交渉にかかると言われている。この間、不透明感がくすぶることになる。ドイツ連銀のバイトマン総裁は、ハードブレグジッドとなった場合、損失を被るのは「主に英国だ」としているものの、結果が出るまでは確信できない。欧州には依然様々なリスクがくすぶっており、ドラギECB総裁の長期にわたる緩和方針を後押しする。ユーロも上昇に転じたと見るのは時期尚早で、引き続き戻り売りスタンスが機能すると見る。





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