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NYの視点:トランプ米大統領のドル政策へのジレンマ




米国のトランプ大統領は就任初日、企業官僚との朝食会を開催し、選挙で掲げていたとおり、1)非常に大規模な国境税を課す意向、2)我々は大幅な減税を実施へ、3)我々はビジネスを損ねている規制を大幅に緩和する、75%以上の緩和も可能、との意向を改めて表明した。経済計画では、「全ての税率区分での引き下げ」「今後10年間で2500万人の新規雇用を目指す」「年4%成長を目指す」ことをすでに発表済み。貿易に関しては早速、TPP脱退について大統領令に署名。また、2国間の貿易交渉を模索していく意向。

大規模な国境税の導入は、企業が米国内に残留するインセンティブとなるほか、1200億ドルの税収拡大につながると見られている。また、海外の利益の本国送金などでドル相場を最大で15%引き上げると見られている。ただ、25%ほどのドルの上昇につながることは誰も望んでいない。このようなケースに陥ると、最終的には協調的なドル安政策を図ることで合意した1985年のプラザ合意のような措置が強いられる可能性も懸念される。

税制改革の中で、国境税は共和党が推進していた。トランプ大統領は、就任を直前に控えた米ウォールストリートジャーナル紙とのインタビューで、「複雑すぎる」と国境税に対して否定的な見方を示していた。大統領は一律、法人税を現状の35%から15%に引き下げを提案していた。このため、一部では国境税の導入に関して、共和党と大統領の間で意見の相違があると、決定には懐疑的見方が浮上していた。しかし、大統領が23日、国境税の導入を明確化したことは今後のドルを支える材料になる。

一方、トランプ大統領は製造業の復活を最優先に考えている。また、国境税が「複雑」と考えている大統領は、製造業の支援には「ドル安誘導」が最もてっとり早いと考える可能性もある。トランプ政権指名のムニューチン米次期財務長官が承認されたのち、「強いドルは米国の国益にかなう」とルービン元財務長官時代から続いてきたドル高政策を果たして維持するかどうかにも注目が集まる。





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