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NYの視点:米次期大統領が異例のドル安誘導




外為市場では米国金融政策で利上げを織り込むドル買いに加えて、昨年11月の選挙以降トランプ次期政権の米国経済を支援する政策期待にドルが大幅に上昇してきた。今後のドルの行方を見極めるためにも、法人税改革における国境税の調整に注目が集まる。米共和党のポールライアン下院委員長とトランプ政権の移行チームが9日に協議した案では、輸出企業に対して免税優遇措置を実施する一方、輸入企業に対しては20%課税する。現在、米国企業には35%の法人税が課せれており、税率は世界中で最も高い。

ハーバード大のフェルドスタイン教授も、非常に良いアイディアで1200億ドルの歳出拡大につながる可能性があると指摘、この政策を支持する姿勢を示した。導入されれば、ドルの価値を最大15%引き上げると見られている。国境税は輸入企業にとり不利と見えるが、政権内のエコノミストによると、国境税導入によりドル高が進み、コスト低下につながり「税率での負担が相殺される」と見ている。

市場でドル高観測が強まる中、トランプ次期大統領は「大統領がドルの水準に関して言及を避ける」という最近の伝統を破った。トランプ氏は先週末に実施されたウォールストリートジャーナル紙とのインタビューの中で、「米国企業が中国の企業と競争することは不可能、ドルが強すぎるためだ」と言及。「人民元が急落している」とし、中国当局が下落を抑制する政策に関しても、「見せかけの行動」と一蹴した。

トランプ氏は選挙期間中、中国を為替操作国に認定するとたびたび主張しており、特に人民元に焦点を当てた言及ととることもできる。しかし、共和党下院が推進している国境税に関し、トランプ氏はインタビューの中で、「複雑すぎる」と難色を示したことは、さらに、ドル高観測が後退した理由となっている。国境税に関しては、NY連銀のダドリー総裁も慎重な姿勢を見せている。

トランプ次期大統領が大統領顧問として起用することを発表したヘッジファンドのスカイブリッジ・キャピタル創業者スカラムッチ氏もスイス、ダボスの世界経済フォーラム(WEF)年次総会で、「我々はドル高に注視する必要がある」と指摘。ただ、スカラムッチ氏は同時に、トランプ政権の成長を柱にした政策で、「経済はドル高にも耐えうる」と加えている。トランプ氏の第45代目大統領就任式を週後半に控え、新政権の政策不透明感で投資家はドルの買い持ちの手仕舞いを強いられている。




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