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米原子力空母で新型コロナが感染拡大、北東アジアに空母なし


4月9日、防衛省統合幕僚監部は「令和元年(2019年)度の緊急発進(航空自衛隊のスクランブル発進)回数」を発表した。令和元年度の緊急発進回数は947回であり、昭和33年(1958年)に対領空侵犯措置を開始して以来、過去3番目の多さであった。緊急発進の対象国は中国軍機が約71%、ロシア軍機が約28%であった。昨年度の中国軍機の行動についてみてみるとH6爆撃機やY9早期警戒機が沖縄本島と宮古島間を通過し、太平洋に進出した飛行が5回に及んでいる。また、昨年7月には中露軍機が編隊を組み、尖閣列島、対馬海峡を通過し、竹島上空にて領空侵犯をした飛行が確認された
(防衛省4月9日)。この結果により、中国軍機が東シナ海及び太平洋上での作戦能力の向上を目指していることが窺える。

また、防衛省は4月11日夕方、海上自衛隊第5護衛隊所属「あきづき」(佐世保)及び第1航空群所属「P−1」(鹿屋)が男女群島(長崎県)の南西約420Kmの海域を南東進する中国海軍クズネツォフ級空母「遼寧」1隻、他駆逐艦等5隻を確認した。その後、これらの艦艇が沖縄本島と宮古島の間の海域を南下し、太平洋へ向けて航行したことを確認した。中国海軍の意図は「A2/AD」(Anti-Access/Area Denial:接近阻止・領域拒否)能力や遠方での作戦遂行能力の構築を図ることであろう(令和元年版防衛白書)。中国海軍の空母がこの海域を通過したのは、昨年の6月以来のことであり、航行の目的を分析するとともに警戒監視を継続すると発表した。

そのような状況下、米海軍では世界に展開する複数の原子力空母において新型コロナウイルスの感染が拡大しているとの報道がなされている。空母「セオドア・ルーズベルト」では、200名以上の乗員に感染が広まり、グアムのアプラ港において任務停止に追い込まれているとのことである。現在米海軍では11隻の空母を運用しているが、そのほとんどが北アラビア海での作戦や定期修理中であり、北東アジアでの作戦行動に参加できる空母はない。海軍作戦の要である原子力空母の戦線離脱により、地域の安全保障バランスに空白が生じ、我が国の安全保障が大きく脅かされる事態におちいっていることを認識しなければならない。


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