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今晩の米CPIとFOMC議事要旨を前に整理


[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;28096.74;+173.37TOPIX;2006.76;+14.91


[後場の投資戦略]

 本日の東京市場では主要株価指数はまちまち。一方、日経平均は4日続伸で再び28000円に乗せるなど堅調な展開。ただ、今晩に発表を控える米3月消費者物価指数(CPI)、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(3/21-22日開催分)を皮切りに、13日の米3月卸売物価指数(PPI)、14日の米3月小売売上高、米4月ミシガン大学消費者信頼感指数、米銀大手決算など、重要イベントを前に大勢は様子見ムードが広がっている。

 米3月CPIは総合では前年比+5.1%へと2月(+6.0%)から大きく鈍化し、前月比でも+0.2%と2月(+0.4%)からはモメンタムが弱まる見通し。一方、米連邦準備制度理事会(FRB)が重要視している食品・エネルギーを除くコア指数では前年比+5.6%
と2月(+5.5%)からやや加速する見通し。前月比では+0.4%と2月(+0.5%)に続き強いモメンタムが維持される見込みだ。

 FEDウォッチによると、堅調な米雇用統計などを受けて、次回5月3日のFOMCでの0.25ポイントの利上げ確率は7割近くにまで上昇している。一方、金利先物市場は7月、9月会合からの利下げ転換を織り込んでおり、この点は依然としてまだFRBの姿勢との比較では前のめり過ぎる印象があり、コアCPIの上振れ度合いではやや波乱の余地がありそうだ。

 また、今月2日には、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の主要産油国で構成する「OPECプラス」が予想外の減産を発表したことで、原油市況が急伸した。中国経済の再開や米国でのドライブシーズン突入前を背景とした需要増への思惑がくすぶる中、その後も原油先物価格は高止まりしている。このため、今晩の総合CPIが前年比で鈍化しても、この点はすでに過去のものとして捉えられ、好感される可能性は低い。総合の鈍化は織り込み済み、コアの上振れはサプライズ余地あり、というのがCPI発表前の考え方の整理としては妥当だろうか。

 他方、米商品先物取引委員会(CFTC)によると、E-mini S&P500株価指数先物を対象とした4月4日時点での投機筋の持ち高状況をみると、32万1459枚の売り越しとなっており、これはコロナショック後の水準も超える売り越し幅で、過去10年でみても最大の売り越し幅だ。このため、投機筋は株価指数を使ってヘッジポジションをすでに構築済みのため、CPIがネガティブな結果となった場合でも、株価の下落はマイルドなもので済む可能性もあろう。

 もう一つ、今晩の米国市場で公表されるFOMC議事要旨についてだが、前回FOMCはハト派ともタカ派ともどちらにも捉えられる内容だったため、今回の議事要旨で追加のヒントを得ようと考える向きは多いだろう。FRBは銀行経営不安には規制政策で対応、インフレには金融政策で対応という形で、割り切り姿勢がわりと明確な印象もあるため、利下げ転換ハードルがやはり高いとの見方が強まれば、株価にはマイナスに作用すると考えられる。今晩の米国市場の動きは非常に読みにくく、週末の米銀決算など後に控える重要イベントも踏まえれば、今は様子見に徹しておいた方がよさそうだ。
(仲村幸浩)
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