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「取引データからわかること」と「個人の冷静な判断」


[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;29620.11;-110.68TOPIX;1951.62;-15.81


[後場の投資戦略]

 本日の日経平均は反落し、3ケタの下落で前場を折り返した。日足チャートを見ると、29400円近辺に位置する25日移動平均線を割り込まず底堅い一方、節目の3万円近辺での上値の重さも拭えない。従来の当欄の見立てどおり、高値もち合いの様相を呈しつつある。

 市場関係者からは「新年度相場入りによる株式需給の改善」に期待する声が多く出ていたが、足元では一転「企業業績見極め」といったムードだ。確かに本日はファーストリテや7&iHD<3382>、明日は安川電<6506>が決算発表を予定しており、2月期決算企業を中心とした発表のピークにある。今月下旬からは3月期決算企業の発表が本格化する。バリュー(割安)株ですらPBR(株価純資産倍率)はヒストリカルで見てかなり高い水準となってきたため、業績回復のモメンタム(勢い)が期待どおりとなるか見極めたいという思惑が出てきてもおかしくないだろう。

 ただ、かねて指摘しているとおり、そもそも直近の取引データ等を見ると需給的に日経平均を一段と押し上げるほどのパワーが残っていたかという点にも疑問はある。
日本取引所グループが発表している3月第1~4週(1~26日)までの投資主体別売買動向を見ると、信託銀行が現物株を1兆4000億円あまり売り越していた。一方で同時期に東証株価指数(TOPIX)先物を1兆1000億円ほど買い越してもいる(日経平均先物は2000億円あまりの買い越し)。現物株の売りは巷間言われるとおり、株高により株式の保有ウェイトが目標値を超過したため、年金基金等が持ち高調整の売りを出したものだろう。一方の先物買いに関して意外なほどに市場の話題とならないが、1兆円規模と言われた配当再投資の前倒し、あるいは先取りする動きだった可能性もある。

 また、信用取引の残高を見ると、買い残がおよそ2年半ぶりの高水準にある一方、売り残は5か月ぶりの低水準にあるという。昨年来、「売り方の買い戻し」が断続的な株価上昇を演出してきたが、その余地は乏しそうだ。さらに裁定残はネット買い越しの状態が定着しつつある。

 一昨日も述べたが、セルサイドのアナリストやバイサイドのマネージャーからはなお強気な声が多く聞かれる。実際、米連邦準備理事会(FRB)などの主要中央銀行が金融緩和の縮小・脱却に動かない限り、飽和マネーが資産価格を支える構図に変わりはないと筆者も考える。しかし、例えば金融機関・年金基金等はあえてここから株式の保有ウェイトを一段と引き上げるだろうか?生命保険各社は米10年物国債利回りの2%
台乗せも視野に入れ、外債投資再開を検討しているという。それに個人は昨年3月のコロナショック時の動きを見ても、株価の水準に一段と敏感だ。日経平均3万円からのアップサイドにどれだけ期待が持てるだろうか?

 これらを踏まえると、昨年のような株価急上昇は期待しづらくなってきたかもしれない。ただ、筆者のもとには相変わらず「成長の期待できる企業」「デジタル化の恩恵を受ける企業」といったテーマでの寄稿依頼は多い。社会変化を睨み、投資機会をうかがう個人もなお多くいるのだろう。冷静な判断のように思える。
(小林大純)
<AK>
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