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高まる警戒感と「それでも株買い模索」の苦悩


[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;28359.11;-571.00TOPIX;1864.19;-20.55


[後場の投資戦略]

 本日の日経平均は週末を前に大幅続落している。前日からの2日間の下落幅はおよそ
1200円に、また2月16日の取引時間中に付けた高値30714.52円からの下落幅は2300円あまりに達している。日足チャート上では、前日の下落で29000円台前半に位置する25日移動平均線を割り込み、目下のところ28000円近辺まで上昇してきている75日移動平均線水準で下げ止まるかが意識されそうだ。アジア市場に目を向けても、香港ハンセン指数や中国・上海総合指数が軒並み軟調だ。

 パウエル氏から米長期金利の上昇を抑制する具体的な措置が示されなかったことで、米10年物国債利回りは1.5%台まで上昇。ナスダック総合指数の2月高値からの下落率は調整局面入りの目安とされる1割近くに達しており、一部で下げ過ぎとの指摘も出ているものの、長期金利の上昇に歯止めがかからないなかでは押し目買いに動きにくいだろう。「恐怖指数」とされる米株の変動性指数は28.57(+1.90)に上昇した。

 米国のブレークイーブン・インフレ率(期待インフレ率の指標)はやはり2.2%台で高止まり。「インフレ加速」への警戒感は根強い。パウエル氏の発言に対する米国株の反応を意外感を持って受け止める向きもあるが、もはや積極的な財政支出や金融緩和策は好感される材料ではないのかもしれない。期待インフレ率の高止まりはそれを物語っている。

 それでも、前日は日経平均が600円を超える下落となるなか、東証1部銘柄の36%が値上がりした。本日は値下がり銘柄数が増えているものの、原油先物相場の上昇を受けて国際帝石が買われるなどし、業種別騰落状況は全面安商状となっていない。前日の当欄で述べたとおり、インフレ率並みに名目賃金が伸びるという「バラ色の未来」を市場が予想している印象は薄いが、インフレヘッジ目的で「株買い」を模索しないわけにはいかない。そんな市場参加者の苦悩が物色動向から透けて見える。

 さて、東証株価指数(TOPIX)が1.09%の下落で前場を折り返しており、後場は連日で日銀による上場投資信託(ETF)買い入れが実施される公算が大きい。香港株や上海株も足元やや下げ渋ってきている。しかし、FRBの金融政策が難しいかじ取りを迫られるなか、今晩の米国では2月雇用統計の発表が予定されており、後場も持ち高調整目的の売りが出やすいだろう。引き続き軟調な展開になるとみておきたい。
(小林大純)
<AK>
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