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日経平均は反落、リバウンドの脆さを露呈した半導体関連株?


 日経平均は反落。112.72円安の27915.58円(出来高概算5億4024万株)で前場の取引を終えている。

 16日の米株式市場でダウ平均は39.09ドル安(−0.11%)と小幅反落。ディスカウント小売のターゲットが業績予想を下方修正したことで警戒感から売りが先行。一方、米10月小売売上高は予想を上回ったため、景気後退懸念が緩和して下支えとなった。
終盤にかけては、米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事のタカ派発言を受けて金利先高観が強まったことでハイテク株が大きく売られ、相場を押し下げた。ナスダック総合指数は−1.53%と大幅反落。日経平均は76.09円安からスタートすると、半導体関連株を中心にハイテク・グロース株に売りが先行する中、寄り付き直後に27910.01円(118.29円安)まで下落。その後は下げ渋ったが、香港ハンセン指数の大幅安が投資家心理を悪化させた。一時は心理的な節目の28000円を回復したが定着せず、同水準を前にした上値の重い展開が続いた。

 個別では、米半導体メモリ大手のマイクロン・テクノロジーの見通し下方修正を受けてレーザーテック<6920>が急落し、東エレク<8035>、アドバンテスト<6857>なども大きく下落。ファーストリテ<9983>、ソニーG<6758>、キーエンス<6861>、信越化<4063>など値がさ株も軟調。新光電工<6967>、太陽誘電<6976>、TDK<6762>のハイテク株や、サイボウズ<4776>、Sansan<4443>、マネーフォワード<3994>のグロース株のほか、住友鉱<5713>、大阪チタ<5726>の資源関連の一角も安い。東芝<6502>の買収案への参画が判明したローム<6963>は財務負担への懸念から大幅安。

 一方、前日に10月訪日外国人旅行者数が前月比で2.4倍に急増したことが判明したことで、JAL<9201>、JR東海<9022>、高島屋<8233>などのインバウンド関連が軒並み大幅高。エアトリ<6191>は外資証券による新規買い推奨も手伝い急伸。ほか、世界最大級のエチレンプラントを受注したと伝わっている日揮HD<1963>、大型受注を発表した平田機工<6258>などが大きく上昇。上半期業績予想を上方修正したヤーマン<6630>はストップ高買い気配のまま終えている。

 セクターでは電気機器、非鉄金属、ゴム製品が下落率上位となった一方、陸運、空運、食料品が上昇率上位となった。東証プライム市場の値下がり銘柄は全体の29%、対して値上がり銘柄は67%となっている。

 日経平均は反落しているが、上向きの5日移動平均線に沿ったトレンドを大きくは脱しておらず、前日のナスダック指数やフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が大幅安だったことを踏まえれば、かなり健闘している印象を受ける。一方で、28000円を超えると途端に上値が重くなる動きが続いていることは気がかり。米国のナスダック指数も同様だが、物価指標の改善後の長期金利の低下トレンドが続いているにも関わらず、上値の重さが感じられる点は買い上がる向きが少なく、むしろ売り需要の強さを示唆しており、ネガティブに捉えられる。

 前日、米半導体メモリ大手のマイクロン・テクノロジーが市場環境に対応するため、DRAMとNANDのウエハーを6−8月期比で約20%減産する方針を明らかにしたと伝わっている。同社は「来年の市場見通しは最近になって弱くなった」と説明しているという。これが前日のSOX指数の急落につながった。先週、業績予想を大幅下方修正したにもかかわらず株価の大幅高が続いていた東京エレクトロン<8035>の動きから、半導体関連株の底入れ感が強まってきた印象があったが、水を差された格好だ。

 しかし、ノートパソコンなど民生向け市場の落ち込みで半導体のメモリ市場が急減速していることは既に3カ月ほど前からも分かっていることで、今回の情報に目新しさはない。むしろ、直近の株価上昇率が大きく反動が出やすかったとはいえ、ほとんど既知の情報に対して大きく反応するのは、足元の半導体株のリバウンドの脆さを露呈したといえる。

 今後気を付けなければならないのは、ロジック分野の落ち込みだ。半導体各社の見通しが相次いで下方修正されているが、総じてメモリ向けが弱いのに対してロジック向けは依然として好調と強気の姿勢を維持したままの企業が多い。しかし、人工知能
(AI)など最先端機能を備えた産業向けに多いロジックの需要は、たしかに民生向け中心のメモリに比べて底堅いとはいえ、新型コロナによる供給網の混乱期に過剰な前倒し発注が行われた可能性は高い。このため、現在メモリから始まっている半導体業界における在庫調整の波が今後ロジックを襲うことは十分に考えられる。いまの半導体関連の株価にロジックの調整は織り込まれていないとみられ、今後の決算においてロジック分野での需要について会社側からのトーンが低くなることには注意しておきたい。

 前日は米連邦準備制度理事会(FRB)高官からのタカ派発言も米株式市場の重石となった。ウォラーFRB理事は「政策金利の引き上げはまだまだ続く、2023年の後半まで続く」などと発言したもよう。また、FRBの利上げペース減速を最初に示唆したサンフランシスコ連銀総裁のデーリー総裁も「利上げ停止は議論になっていない」などと発言し、タカ派的な姿勢を見せた。こうした中でも、景気後退懸念を映してか、米10年債利回りは16日、3.69%と一段と低下した。

 長期金利が再び大きく上昇してこない限り、株式市場の下値は堅いと思われるが、昨日の米国市場と本日の東京市場をみる限り、本格的な上昇もなかなか期待しにくい。前日の米株式市場では半導体銘柄が大きく下落したが、それ以外でも、電気自動車大手のテスラが大きく下落し、年初来安値の更新を窺う展開となっている。半導体やテスラといった指数へのインパクトが大きい銘柄が弱いと、全体相場もなかなか盛り上がることが難しいだろう。

 一方で、こうした中でも、東京市場では業績良好な銘柄で年初来高値を更新しているものも多い。今年上半期のように何でも売られるような局面はすでに終わっていると考えられ、投資家の銘柄選別力が試されるフェーズに入ってきたといえそうだ。

 後場の日経平均は引き続き心理的な節目の28000円を挟んだもみ合いが続くと予想される。先週から相場のけん引役となってきた半導体関連株が日米そろって崩れている中、今晩の米国市場では半導体大手アプライド・マテリアルズの決算も予定されており、決算内容と株価反応が注目される。金利が低下基調にある中でもナスダック指数の下落が続くのか、この点についても焦点となってこよう。

 全体的に不穏な空気が漂う中、前日、日本政府観光局(JNTO)が発表した10月の訪日外国人旅行者数が前月比で2.4倍に急増したことが判明した。新型コロナ感染拡大前の2019年の同月比では80%減と依然として低水準だが、インバウンド需要の鍵を握る中国が規制緩和の兆候を見せていることもあり、今後の回復期待は高いだろう。本日は関連銘柄も久々に動意づいており、再びリオープン・インバウンド関連銘柄への物色を検討してもよい頃合いかもしれない。
(仲村幸浩)
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