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日経平均は4日ぶり小反落、全体冴えないなか新興株の復活機運高まる


 日経平均は4日ぶり小反落。52.44円安の27379.40円(出来高概算5億4992万株)で前場の取引を終えている。

 26日の米株式市場でダウ平均は2.37ドル高(+0.00%)とほぼ横ばい。新築住宅販売件数の減少などを背景にした景気減速懸念から売りが先行。一方、カナダ中央銀行が予想より小幅な利上げを発表したことで、連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ減速見通しが強まり、長期金利の低下を背景にダウ平均は上昇に転じた。他方、アルファベットやマイクロソフトの決算に失望した売りから、ナスダック総合指数は−2.03%と4日ぶり大幅反落。日経平均は24.61円安とほぼ横ばいからスタート。前日の米国の主要株価指数や米主要企業の決算がまちまちだったことで、手掛かり材料に欠ける中、日経平均はその後も前日終値近辺での一進一退が続いた。時間外取引のダウ平均先物や中国・香港株の上昇が支援要因になった一方、米メタ・プラットフォームズの決算を受けた株価急落が重石になった。

 個別では、レーザーテック<6920>、東エレク<8035>、アドバンテスト<6857>の半導体関連のほか、キーエンス<6861>、SMC<6273>、日本電産<6594>、安川電機<6506>、イビデン<4062>、新光電工<6967>などが高い。マネーフォワード<3994>、Sansan<4443>
など中小型グロースの一角も強い動き。原油市況の上昇を受けてINPEX<1605>、出光興産<5019>が買い優勢。九電工<1959>、カプコン<9697>、日立建機<6305>、航空電子<6807>、富士通ゼネラル<6755>、オムロン<6645>などは決算が好感されて大きく上昇した。

 一方、円高・ドル安を受けてトヨタ自<7203>、マツダ<7261>、SUBARU<7270>など自動車関連が軒並み下落。郵船<9101>、川崎汽船<9107>の海運は大幅続落。米長期金利の低下を背景に三菱UFJ<8306>、三井住友<8316>の金融も大きく下落。ほか、アサヒ<2502>、セイコーエプソン<6724>、大阪チタ<5726>などの下落が目立つ。決算を発表したところでは日東電工<6988>、キヤノン<7751>、サイバー<4751>などが売られた。

 セクターでは銀行、繊維製品、海運が下落率上位となった一方、鉱業、電気・ガス、石油・石炭が上昇率上位となった。東証プライム市場の値下がり銘柄は全体の70%、対して値上がり銘柄は26%となっている。

 26日の米株式市場の引け後に発表されたメタ・プラットフォームズの決算は失望的なものとなった。第3四半期(7−9月)は2四半期連続での減収となったほか、第4四半期の見通しも市場予想に届かなかった。また、収益化の目処が立っていないメタバース関連の損失が今後さらに拡大するとの見通しが示された。

 メタの決算は過去の経緯やスナップの決算から想定線とはいえ、同社株価は26日の立ち会いで6%近く下落したうえ、決算を受けて時間外取引でさらに20%近くも急落した。一昨日のマイクロソフトとアルファベットも冴えない決算で、前日はそれぞれ7%、9%とそれぞれ大幅に下落している。GAFAM決算は今のところ3戦3敗と全敗だ。今晩27日の米株式市場では、残るアップルとアマゾン・ドットコムの決算が予定されている。アップルについては、すでに新型スマートフォンの販売動向が不振と伝わっているが、メタの売られ方を見る限り、ある程度想定線とはいえ、予想を少しでも下回れば容赦なく売られそうなため注意が必要だろう。

 GAFAMではないが、電気自動車大手のテスラも先んじて決算を発表しているが、納入車数が市場の期待値に届かないなど内容はいまいちで、その後は中国での競争激化を受けた値下げも発表しており、株価も冴えない。米国の主要株価指数はGAFAMやテスラといった時価総額上位の銘柄で吊り上げられている部分が大きいため、残るアップルとアマゾンでも決算が冴えないものとなると、米国株は厳しい展開になりそうだ。

 一方、こうした中、東京市場では中小型グロース株の相対的な強さが続いており、本日はマザーズ指数が他の指数が下落しているなか逆行高を見せている。マザーズ指数の日足チャートをみると、今週に入って長期の200日移動平均線を明確に上放れてきており、一目均衡表でも雲上限を突破し、テクニカルな好転が際立っている。

 マザーズ指数については、米国での金融引き締めを背景に、今年前半(1−6月)は徹底的に売り込まれたが、その分、すでに金利上昇などの悪材料は織り込み済みと思われる。年内の米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げペース減速も視野に入るなか、今は銘柄固有の高い成長ポテンシャルを見込んだ買いが入りやすくなっているのだろう。また、取引の主体が個人投資家中心で、海外投資家や国内機関投資家による持ち高削減の影響を受けにくいほか、世界景気の減速など外部環境からの悪影響も受けにくいことも背景として考えられる。

 時価総額上位銘柄が冴えず、ナスダックやS&P500株価指数、日経平均、TOPIXなどの上値が重いなか、高い成長率を誇り、外部環境の影響も受けにくい中小型グロース株の相対的な強さは今後も続くと思われる。いっときは指数連動型のインデックス投信にさえ投資していれば、あとは勝手に利益が増えていくとされ、アクティブ投信はもはや終わったなどと言われていた。しかし、歴史的なインフレを契機とした大規模金融緩和相場の終焉をきっかけに、個別銘柄の分析・選別がようやくものを言う局面に入ってきたとも言える。時間軸などの制約を受けずに長期目線で投資できる個人投資家にとっては腕の見せ所だろう。
(仲村幸浩)
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