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日経平均は4日続伸、今一度考えてみる相場上昇要因と今後の見通し


 日経平均は4日続伸。264.97円高の28208.92円(出来高概算6億6821万株)で前場の取引を終えている。

 7日の米株式市場でNYダウは264.36ドル高と続伸。小売大手のターゲットが業績予想を下方修正したことで小売銘柄を中心にネガティブな動きが波及したが、中盤に持ち直すと引けにかけて緩やかに上げ幅を拡大した。長期金利が低下したことでハイテク株を中心に買い戻され、ナスダック総合指数は+0.94%と続伸。米株高を引き継いで日経平均は156.31円高からスタート。1ドル=133円台に乗せた円安進行や香港ハンセン指数の上昇を背景に、その後も順調に上値を伸ばし、前場終盤には一時28225.73円(281.78円高)まで上昇した。

 個別では、ナスダックの上昇やアリババ株の急伸を追い風にソフトバンクG<9984>
が大幅高となり、レーザーテック<6920>、日本電産<6594>、ダイキン<6367>など主力株が全般強い動き。米大手金融機関による原油相場見通しの上方修正などを背景にINPEX<1605>、石油資源開発<1662>が急伸。川崎重<7012>、IHI<7013>、三菱重<7011>の防衛関連が上伸。目標株価引き上げを受けて日揮HD<1963>も急伸。ほか、エムスリー<2413>、SHIFT<3697>、富士フイルム<4901>、三井不動産<8801>、神戸物産<3038>などが大幅に上昇。レーティング格上げが観測されたマクセル<6810>も大幅高。東証プライム市場値上がり率上位には業績予想を上方修正したクミアイ化<4996>、第3四半期の好決算が好感されたシルバーライフ<9262>などがランクイン。

 一方、郵船<9101>、商船三井<9104>など海運株が軟調。米長期金利の低下により三菱UFJ<8306>、三井住友<8316>などメガバンク株も冴えない。チタンの国内価格交渉の行方が大筋決まったとの報道で急伸劇が続いていた大阪チタ<5726>、東邦チタニウム<
5727>は利益確定売りで下落。JR東海<9022>、KDDI<9433>、OLC<4661>などディフェンシブ系も軟調。気掛かりなところでは、アドバンテスト<6857>など半導体関連が前日の大幅安に続き、総じて相対的に弱い動きが目立つ。

 セクターでは鉱業、不動産、卸売を筆頭に全般買い優勢。一方、海運、銀行、保険、鉄鋼の4業種が下落した。東証プライムの値上がり銘柄は全体の80%、対して値下がり銘柄は17%となっている。

 日経平均は先週からの上昇基調が続き、本日は前日に終値で維持できなかった28000円を明確に上回ってきている。日足チャートでは長らく上値抵抗線だった200日移動平均線(27940円)を優に上回ってきた。テクニカルな好転を受けて、売り方が一段と買い戻しを迫られているほか、短期筋の追随買いも入っているとみられる。先週からの日経平均の上昇幅は1400円程にもなるが、短期間でこれだけ上昇している割には、ザラ場中に目立った押しがほとんど見られない。一時乱高下したのは昨日くらいだ。

 しかし、何かこの上昇相場を素直に喜べない、気持ちの悪い感覚が付きまとう。この1~2週間に何か目立った材料があっただろうか。あったとすれば、米連邦準備制度理事会(FRB)高官からの9月以降も0.5ptの利上げを支持するタカ派発言や原油価格の高騰、米長期金利の上昇など、どちらかと言えば相場にとってネガティブな材料ばかり。

 それまでの間に、個人投資家も機関投資家もセンチメントがかなり弱気に傾いていたため、株式市場を巡るグローバルな環境が特に好転したわけではなく、過度に傾き過ぎていた弱気ポジションの反動というのが、この上昇相場の主要因と考えるのが自然だろう。

 目先の注目イベントは今週末の米5月消費者物価指数(CPI)、そして来週14~15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)だ。また、来週末には米国市場でもSQが控えている。現状、米国のオプション市場ではプット(売る権利)の建玉が多いため、CPIやFOMCといったイベント前で普通であれば動きにくいと考えられる中ではあるが、短期的には売り方の買い戻しがまだ続く余地がありそうだ。

 相場にとってのポジティブシナリオは、CPIで前月に続き前年比での伸びの鈍化が確認されること、そして、FOMCで公表される政策金利見通し(ドットチャート)において、利上げペースが過度にタカ派的でないことが確認されると同時に先行き不透明感が払拭されることだろう。こうしたポジティブシナリオが実現すれば、短期的には更に上値を試す展開が想定される。

 しかし、来週末の米国版メジャーSQを通過した後はどうだろうか。先週から既に過度に弱気なセンチメントが修正されてきているなか、仮に上述した注目イベントでポジティブシナリオが実現したとしても、そこからの上値余地は大きくないのではないのだろうか。それまでの間に、SQに向けて売り方の買い戻しが一巡してきていることを考えれば尚更だ。

 また、今一度思い出すべきなのはインフレを抑え込むために過度に相場を上昇させたくないと考えているFRBの存在だ。景気後退もインフレも防ぎたいFRBは、株価指数の水準を現状の位置から過度に上にも下にも動かしたくないと考えているはずだ。こうしたFRBの思惑については少し前から指摘されており、S&P500指数でいえば、3800~
4300が目安とされている。これまでの高官発言を振り返ると、実際、3800が近くづくタイミングでハト派的な発言(9月の利上げ停止など)が出てきた一方、4200近くまで大きく反発してきた直後には、タカ派的な発言(9月も0.5ptの利上げ支持など)が相次いでいる。

 これらを踏まえると、目先のCPIとFOMCでポジティブシナリオが実現し、相場が現状水準から一段と上昇したとしても、そこから先は再びFRBによるけん制発言が相次ぐ可能性が高い。それだけでなく、グローバルな経済状況に大きな変化がないなか、いつまでも相場のリバウンド基調が続くと考えること自体が難しいだろう。

 そうなると、時間軸で考えると、株式市場のリバウンド基調は長くても来週末までで、その翌週(6月20日~)からは再び調整局面が想定される。ポジティブに考えても、せいぜいもみ合い相場だろう。今の難しい相場局面であえて投資に挑戦する必要はないと思うが、仮に投資するのであれば、金融政策に関するイベント前後でも潮目が変わりにくい、リオープン(経済活動再開)関連の銘柄などの方が無難だろう。

 後場の日経平均は引き続き堅調推移が見込まれる。上述した通り、イベント前で神経質ながらも、来週までは悲観センチメントの修正、米国版SQに向けた買い戻しが続く可能性が高い。短期的には意外なほどまでに底堅い動きが続くとみておきたい。
(仲村幸浩)
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