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日経平均は大幅続伸、米中懸念は目先後退、「長期戦」へ


 日経平均は大幅続伸。285.15円高の28376.20円(出来高概算5億6000万株)で前場の取引を終えている。

 週明け1日の米株式市場でNYダウは反発し、229ドル高となった。前週に市場の混乱を招いた個人投資家による投機的売買やヘッジファンドによる持ち高の手仕舞いが一巡し、金融システムに与える影響は限定的との見方が広がった。また、追加経済対策を巡りバイデン大統領が共和党上院議員と代替案を協議したことなども期待感につながった。本日の日経平均はこうした流れを引き継いで116円高からスタートすると、朝方マイナスに転じるなど伸び悩む場面もあったものの、香港ハンセン指数を中心にアジア株が堅調な出足だったことから上げ幅を拡大。この日の高値で前場を折り返した。

 個別では、ソフトバンクG<9984>、ソニー<6758>、村田製<6981>、エムスリー<2413>、東エレク<8035>などが堅調。前日の米市場で半導体関連を中心としたハイテク株が堅調だった流れを引き継いだ。ルネサス<6723>は半導体業界再編の思惑もあって5%超の上昇。決算発表銘柄ではローム<6963>などが買われ、資生堂<4911>は7%近い上昇。
また、レシップHD<7213>はストップ高水準で前場を折り返した。一方、売買代金トップの任天堂<7974>は前引け時点で小幅に下落。ゲーム機「ニンテンドースイッチ」の販売好調などから業績予想を上方修正したが、材料出尽くし感も出ているようだ。
レーザーテック<6920>も好決算ながらさえない。今期見通しが物足りないと受け止められた大塚商会<4768>は急落。また、CEHD<4320>などが東証1部下落率上位に顔を出した。

 セクターでは、非鉄金属、鉄鋼、鉱業などが上昇率上位で、その他も全般堅調。半面、証券、医薬品、電気・ガス業の3業種が下落した。東証1部の値上がり銘柄は全体の78%、対して値下がり銘柄は19%となっている。

 本日の日経平均は朝方こそ伸び悩む場面があったものの、結局300円近い上昇で前場を折り返した。米国ではゲーム専門店のゲームストップ株が急反落。ネット証券のロビンフッドやSNS「レディット」を舞台にした個人の投機的取引、これに伴うヘッジファンド等の持ち高解消の動きはひとまず和らいだとみられている。また、中国人民銀行(中央銀行)による公開市場操作(オペ)は前週末から3営業日連続で資金供給超。
ひとまず春節(旧正月)前の資金需要に対応した格好だろう。これにより中国当局による金融引き締めへの警戒感が和らぎ、本日の香港ハンセン指数は大幅続伸している。

 これらの動きから、米国の過剰投機問題や中国の金融引き締め観測に対する目先の懸念は大きく後退したと言えるだろう。こうなると出遅れていた投資家にとっては格好の「買い場」だ。任天堂や半導体関連などといった従来の「人気株」は上値の重さが拭えないが、堅調な企業決算を手掛かりに再び物色が活発化するとみられる。

 上述した米中の諸問題はいわば「長期戦」に移行したのかもしれない。米国ではゲームストップ株などの乱高下を巡る調査が行われ、様々な立場の人間から意見が噴出するだろう。「市場に混乱を招いたのはヘッジファンドか?個人投資家か?」この1点だけでも議論が混乱しそうだが、いずれにせよ何かしらの金融規制につながってくるようであれば市場にとって好ましいことだろうか。リーマン・ショックを受けて「ボルカールール」を導入したのはオバマ元大統領だが、米国は再び民主党政権となったことを忘れてはならないだろう。また、一部メディアが報じているとおり、ロビンフッドのビジネスモデルやSNSを用いた個人の投機的取引には危うさをはらむ。SNS物色の矛先は次に「銀」へと向かったようで、第2のゲームストップ株が出てくる可能性は残るだろう。

 また、中国も先の人民銀幹部の発言から「インフレ懸念」を意識していることは明白だ。春節前の短期金融市場の動揺が落ち着けば、人民銀は再び資金吸収に傾く可能性がある。

 こうした様々な問題が残るとはいえ、株式市場ではなお「買いたい投資家」が多いのも事実。異変の兆候に目を凝らしつつ、戻りを試す相場にもしっかり対応していきたい。
(小林大純)
<AK>
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