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日経平均は3日ぶり反発、指数こう着による中小型株の賑わいに警戒も


 日経平均は3日ぶり反発。214.86円高の22474.65円(出来高概算5億3000万株)で前場の取引を終えている。

 25日の米株式市場でNYダウは反発し、299ドル高となった。連日で新型コロナウイルス感染者の急増が報告されていることを嫌気し、下落して始まった。しかし、当局が金融規制「ボルカー・ルール」の緩和を承認し、スワップ取引の証拠金要件撤廃を発表すると、金融関連株を中心に上昇に転じた。本日の日経平均も米株高が好感されたほか、自己株式の追加取得を発表したソフトバンクG<9984>などが押し上げ役となって164円高からスタート。前場中ごろを過ぎると22520.29円(260.50円高)まで上昇する場面もあったが、おおむね堅調もみ合いといった展開だった。

 個別では、前述のソフトバンクGが3%超の上昇。3月発表の方針に基づき、5000億円、1億1500万株(発行済株式総数の5.75%)を上限に自社株買いを実施すると発表している。富士通<6702>は一部証券会社の投資判断引き上げが観測され、5%超上昇となった。その他売買代金上位では東エレク<8035>やトヨタ自<7203>が堅調。GMO<9449>グループ各社は新規ファンドを巡る思惑などから前日に続き買われ、日本オラクル<4716>は決算が好感された。また、エアーテック<6291>などが東証1部上昇率上位に顔を出した。一方、OLC<4661>が軟調で、ソニー<6758>やキーエンス<6861>は小安い。
スカパーJ<9412>が決算を受けて売られ、H.I.S.<9603>など旅行関連株も下げが目立つ。また、カナミックN<3939>などが東証1部下落率上位に顔を出した。

 セクターでは、証券、倉庫・運輸関連業、保険業などが上昇率上位。半面、鉱業、精密機器、食料品などが下落率上位だった。東証1部の値上がり銘柄は全体の60%、対して値下がり銘柄は35%となっている。

 前日の米国株が上昇した流れを引き継ぎ、本日の東京市場でも買いが先行した。しかし、ここまでの東証1部売買代金は1兆円に届かず、引き続き上値追いの動きは乏しい。売買代金上位を見ると、ボルカー・ルール緩和に伴い金融株が堅調。ソフトバンクGなど好材料を手掛かりに買われる銘柄も散見されるため、市場のムードはさほど悪くない。とはいえ、業種別騰落率を見ても主力大型株はやや物色の方向感に乏しいと言えるだろう。

 日経平均の日足チャートを見ると、22300円近辺まで上昇してきた25日移動平均線が下値をサポートする形となっているものの、22000円で一段とこう着感を強めてきた。
国内外で新型コロナ感染者数が再び増加し、ニュースフローに連動してシステム取引による散発的な売りが出ているのだろう。また、株価指数オプションでも株価下落をヘッジ(回避)する目的でのプット(売る権利)の取引が増えているといい、先行きへの警戒感が拭えないことが窺える。

 一方、このところの先物手口を見ると、引き続き目立って売りに傾いている印象はない。新型コロナの再拡大は確かに脅威だが、現在は経済・金融政策のサポートもあり、金融市場が感染初期のようなパニックに陥るとみる向きはさほど多くないようだ。経済活動の再開に伴い、主要国の経済指標が上向いていることもある。何よりかねて当欄で指摘しているとおり、海外投資家は5月下旬ごろまで売り持ち高を抱えて踏み上げ相場に負けており、主要中央銀行が積極的な金融緩和姿勢を示しているうちは再び売りに傾きにくいだろう。

 こうして株価指数は上にも下にも動きにくくなり、主力大型株の売買も低調となりつつあるのだと考えられる。一昨日の当欄でも述べたが、証券各社も当面もち合い相場が続くとの見通しに傾いてきている。

 いきおい、個人投資家による中小型株物色が目立つこととなる。とりわけ2カ月以上ぶりに再会されたIPO(新規株式公開)が関心を集めており、24日に新規上場したフィーチャ<4052>は上場3日目の本日、公開価格の約9.1倍となる初値を付けた。上昇率は2018年4月に10倍高を達成して話題となったHEROZ<4382>以来の高さだ。個人投資家は資金回転が利き、物色意欲が旺盛であることが窺える。

 ただ、株価過熱への警戒ムードが薄れてきている点は気掛かりでもある。信用買い残の積み上がりなども指摘されており、人気銘柄の株価急落などをきっかけに損益悪化すれば急速な巻き戻しが発生する可能性もある。賑わっている中小型株にはこれまでより慎重に取り組んでいく必要があるだろう。
(小林大純)


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