
夫が亡くなると受給予定の年金はどうなる?
夫が亡くなると、夫が受給予定だった年金自体は支給停止になります。ただし、未支給年金がある場合は、妻が受け取れる可能性があるでしょう。
未支給年金とは、年金受給者が亡くなった際に、受け取れていない年金や死亡日よりあとに振り込まれた年金がある場合に、その人物が亡くなった当月分までのものについて、条件を満たしている人が受け取れる年金です。生計を同じくしている人のうち、次に該当する人が、記載した順番で受け取れます。
(1)配偶者
(2)子ども
(3)両親
(4)孫
(5)祖父母
(6)兄弟姉妹
(7)上記以外の3親等内の親族
年金は、偶数月15日に前の2ヶ月分を受け取ります。例えば、夫が10月10日に亡くなった場合、妻が受け取れる年金額は8月、9月、10月分です。一方、夫が10月20日に亡くなった場合、8月と9月分は受給済みのため、10月分の年金額を受け取れます。
妻が受け取れる遺族厚生年金額はいくらくらい?
今回は、夫の老齢基礎年金が7万円、老齢厚生年金が9万円で合計16万円、妻の老齢基礎年金が7万円、老齢厚生年金が0円で合計7万円として、試算しましょう。
夫が亡くなった場合、妻は未支給年金のほかに遺族年金も受け取れる可能性があります。遺族年金は子どもがいることが必須条件の「遺族基礎年金」と、子どもがいなくても受け取れる可能性がある「遺族厚生年金」の2種類です。遺族厚生年金は、夫が厚生年金に加入していた期間がある場合、対象になります。
遺族厚生年金額は、亡くなった人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。報酬比例部分とは、厚生年金の加入期間や過去の報酬などに応じて計算される年金額を指します。仮に夫の報酬比例部分が108万円、月額換算で9万円だった場合、妻が受け取れる遺族厚生年金は、年81万円、月額換算で6万7500円が目安です。
妻の老齢基礎年金も月7万円だった場合、遺族厚生年金と合計して年金を月13万7500円受け取れる計算です。
なお、遺族厚生年金は、2028年3月までは男女で受給期間の条件が異なります。改正により2028年4月から男女差を解消するための見直しが始まりますが、女性については段階的に実施されます。
・60歳未満で死別した場合は原則5年間、配慮が必要な場合は5年目以降も継続可能
・60歳以上で死別した場合は無期限
妻にも老齢厚生年金がある場合の遺族年金額は?
65歳以上の妻にも老齢厚生年金がある場合、夫が亡くなった際に受け取れる遺族厚生年金額は、次のうちいずれか高い方です。
・夫の老齢厚生年金の報酬比例部分×4分の3
・(夫の老齢厚生年金の報酬比例部分×2分の1)+(妻の老齢厚生年金額×2分の1)
仮に妻の老齢厚生年金額が月7万円、年84万円で夫の条件が先ほどと同じ場合、それぞれの金額の2分の1を合計すると「54万円+42万円」で96万円になります。夫の老齢厚生年金の報酬比例部分×4分の3の金額よりも高くなるため、妻の遺族厚生年金額は96万円です。
ただし、老齢厚生年金を受け取っている人が遺族厚生年金も受け取る場合、実際に受け取れる金額は、老齢厚生年金額を超えた分のみです。今回のケースでは、妻の老齢厚生年金分を差し引いた12万円が、実際に受け取れる遺族厚生年金額になります。
夫婦2人で年金を受け取った場合と夫が亡くなった場合の年金額の差は?
夫の老齢基礎年金が年84万円、老齢厚生年金が年108万円、妻の老齢基礎年金が年84万円だとします。この場合、夫婦で受け取れる老齢年金額は合計で年276万円です。
一方、夫が亡くなり、妻は老齢基礎年金のみを受け取っている場合、夫の分として受け取る遺族厚生年金額は年81万円のため、妻の老齢年金額と合計すると165万円です。夫婦で年金を受け取っていた場合と比較すると、年111万円少なくなります。
ただし、老齢基礎年金額が夫婦で異なる場合や、ほかの条件などによっては、金額の差が変わる可能性があるため、今回のケースはあくまでも参考としてください。
子どもがいなくても遺族厚生年金を受け取れる可能性がある
子どもがいない場合、夫が亡くなると遺族基礎年金は受け取れません。しかし、遺族厚生年金は子どもがいない場合でも、夫が厚生年金に加入していた人であれば、受け取れる可能性があります。
ただし、遺族厚生年金額は夫の年金の全額ではなく、指定の計算式で求められた金額です。夫婦2人で受け取る予定だった年金額よりは、少なくなる場合があります。夫が亡くなった後の収入が不安な人は、年金収入額の目安を事前に試算しておきましょう。
出典
日本年金機構 年金を受けている方が亡くなったとき
日本年金機構 年金はいつ支払われますか。
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 年金用語集 は行 報酬比例部分
厚生労働省 遺族厚生年金の見直しについて
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
