
子どもの遊びだった「アイロンビーズ」が、中国の若者の間で再ブーム
中国では「拼豆(ピンドウ)」と呼ばれるアイロンビーズが、若者や大人の趣味として再び注目を集めているようです。
人民網によると、「拼豆」が週間時事用語として取り上げられ、もともとは子ども向けの知育玩具だったものが、SNSの普及を通じて、ストレス解消や人との交流、自己表現の新たな手段になっていると紹介されています。2024年末ごろから人気が高まり、2025年以降も人気が続いています。
日本でいう楽天市場やYahoo!ショッピングに近い存在である「タオバオ」では、2025年の関連検索数が前年同期比で約500パーセント増えたほか、中国版TikTok「抖音」の「2026年春節消費データ」によれば、2026年春節にはZ世代による共同購入注文数も大幅に伸びたとされています。
一見すると「昔ながらの手芸」ですが、デジタルネイティブ世代があえてビーズを一粒ずつ並べるというアナログな作業に魅力を感じていることは、今回のブームの特徴といえるでしょう。
スマホを置いて一粒ずつ並べる。「デジタル疲れ」を癒やす時間に
中国の若者の間では、効率やスピードを求める「デジタルライフの反動」から、手を動かして没頭できる「アナログな体験」への関心が高まっているようです。
City News Serviceでは、上海でアイロンビーズ専門店が登場し、週末には入店待ちの列ができるほど人気を集めていると紹介されています。背景には、創作に没頭する時間を「心のマッサージ」のように楽しむ「エモ消費」の広がりがあるとされています。
色や図案を選び、一粒ずつビーズを並べていく作業は、目の前のことに集中し、スマートフォンやSNSから一時的に離れて過ごす時間にもなります。普段とは違う作業に没頭することで、気分転換につながる点も魅力のひとつでしょう。
さらに、完成すると目に見える形で成果が残るため、短時間でも「作り切った」という達成感を得やすいことも、人気の理由のひとつとされています。単に「昔懐かしいから流行している」のではなく、デジタル中心の生活だからこそ、手作業に没頭する時間が新鮮に感じられるのでしょう。
推しキャラも自分で作る。SNSで広がる「社交通貨」としてのアイロンビーズ
好きな色やキャラクターを、手のひらサイズで形にできるアイロンビーズは、自己表現との相性も抜群です。中国でもアニメやゲームのキャラクターを取り入れた、キーホルダー、バッグチャーム、ネームタグなど、日常を彩るグッズとして楽しまれています。
また、アイロンビーズはSNSとも相性が良く、完成した作品を投稿したり、「いいね」を送り合ったりすることで、若者同士の会話のきっかけにもなります。こうした楽しみ方から、アイロンビーズは若者にとって「社交通貨」のような役割を果たしているといわれています。
さらに、「推しのグッズを買う」だけでなく、自分で図案を探し、時間をかけて作ることで、愛着や満足感を得られる点も魅力です。このように、アイロンビーズは「作る」というリアルな手作業だけでなく、作品を通じたSNS交流も、現代のブームの形といえます。
1回数百円から楽しめる店も。低コストで始めやすいことも人気の理由
アイロンビーズは、陶芸など他のハンドメイドと比べて必要な材料や工程が少なく、初心者でも始めやすいのも特徴です。
陶芸なら、作品1つにつき少なくとも100~200元(約2370~4740円)ほどかかる一方、アイロンビーズは店舗で制作する場合でも1作品30~40元(約710~950円)程度に抑えられる例もあるようで、比較的低コストで楽しめることが、若者から人気を集める理由として挙げられています。
上海では、必要な道具や材料をそろえた体験店舗もあり、初心者でも手ぶらで参加しやすい環境が整っているようです。City News Serviceでも、リーズナブルな料金でアイロンビーズを楽しめる専門店や、複数のハンドメイド体験を提供する店舗が紹介されており、より身近な存在になっているようです。
「気合いを入れて高額な趣味を始める」というより、「カフェでお茶する感覚」でサクッと作って持ち帰れる手軽さが現代のライフスタイルにあっているようです。
まとめ
中国で「拼豆(ピンドウ)」の名でブレイク中のアイロンビーズは、好きなキャラクターを自分で作って楽しめるだけでなく、SNSを通じた交流や自己表現にもつながっています。さらに、比較的低コストで始めやすく、手を動かして気分転換できることも、支持される理由といえそうです。
デジタル世代が単にレトロ回帰しているのではなく、 デジタルとアナログを行き来しながら、自分に合った癒やしや表現方法を見つけていることが、今回のブームの本質といえるでしょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
