
マンション敷地は、地域の人が自由に通れる場所とは限らない
マンションの敷地は、道路のように当然に誰でも通行できる場所とは限りません。区分所有者が共有する敷地や共用部分については、管理組合が管理し、管理規約や使用細則に基づいて利用ルールを定めることができます。
そのため、「地域の子どもだから通行を認めなければならない」という一般的な義務があるわけではありません。ただし、過去から通路として使われてきた事情や、公道との関係など、個別の権利関係がある場合は別です。まずは敷地の位置づけと管理規約を確認しましょう。
植栽5万円の損害を、通った子ども全員へ請求するのは現実的ではない
民法709条では、故意または過失によって他人に損害を与えた場合、損害賠償責任が問題になります。また、責任能力のない子どもについては、民法712条・714条により監督義務者の責任が問題になることがあります。
しかし、毎日多くの子どもが通って少しずつ植栽が傷んだ場合、「どの子どものどの行為で、いくらの損害が生じたか」を特定するのは難しいでしょう。単に通行していたというだけで、特定の家庭へ5万円全額を請求できるとは限りません。
年間約200日なら「黙認を続けるか」を管理組合で決める
学校のある日を中心に年間約200日通行されるのであれば、一時的な出来事ではありません。この状態を今後も認めるのか、正式な通路を設けるのか、通行を控えてもらうのかを管理組合で決めたほうがよいでしょう。
例えば植栽に入らないよう歩行スペースを示す、簡易柵を設ける、「植栽内には入らないでください」と掲示するなど、通行自体を全面禁止しなくても被害を減らす方法があります。5万円を補修に使い続けるより、再発防止に費用をかけたほうが合理的な場合もあります。
学校や自治体への相談も「責任追及」だけが目的ではない
通学中の子どもが多数利用しているなら、近隣の学校へ状況を伝えることも考えられます。「子どもに5万円を払わせたい」という話ではなく、植栽が傷んでいることや、私有地であること、安全上の問題があることを共有し、児童へ通学ルートやマナーを案内してもらうためです。
敷地内で転倒事故などが起きれば別のトラブルになる可能性もあります。地域との関係を維持しながら、利用方法を明確にすることが双方にとって安全です。
住民だけが補修費を負担し続ける必要はないが、まず予防を
5万円の植栽補修を管理費から支出すれば、最終的には区分所有者が共同で負担することになります。共用部分の維持管理として支出すること自体は考えられますが、原因が分かっているのに何の対策もしないまま毎年補修するのは合理的とは言いにくいでしょう。
「地域の子どもに優しくすること」と「住民が無制限に費用を負担すること」は同じではありません。通行を認めるなら、植栽を守るルートを作るなど、被害が発生しにくい仕組みを整えることが大切です。
まとめ
通学中の子どもがマンション敷地を近道に使い、植栽の補修に5万円かかったとしても、地域への配慮を理由に住民が将来もすべての費用を負担し続けなければならないわけではありません。
ただし、不特定多数の子どもの通行で徐々に傷んだ場合、特定の家庭へ損害賠償を求めるのは簡単ではありません。管理組合で通行の扱いを決め、歩行ルートの明示や柵、掲示、学校への連絡などで再発防止を図るのが現実的です。
出典
e-Gov法令検索 民法
e-Gov法令検索 建物の区分所有等に関する法律
国土交通省 マンション管理
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
