
教育費を必要な都度払うなら贈与税はかかりにくい
祖父母が孫の教育費を援助する場合、通常必要な教育費として、必要な都度、直接支払うお金には贈与税がかからないとされています。
たとえば、大学の入学金や授業料を、納付書に基づいて祖父母が学校へ直接振り込む場合です。教材費や通学費なども、教育に必要な範囲で、その都度支払うなら非課税になる可能性があります。
一方で、「大学費用に使ってね」と孫の口座に100万円をまとめて渡し、そのお金がすぐに教育費に使われず預金された場合は、贈与税の対象になる可能性があります。
贈与税には年間110万円の基礎控除があります。孫がその年にほかの人から贈与を受けていなければ、100万円だけなら基礎控除内に収まり、贈与税はかからない可能性があります。ただし、祖父母以外からもお祝い金や援助を受けている場合、合計で110万円を超えると申告が必要になることがあります。
税金面で安心なのは、孫へ現金をまとめて渡すより、入学金や授業料の請求書を確認し、学校へ直接支払う方法です。支払った記録も残るため、教育費として説明しやすくなります。
年金月20万円なら老後資金を優先して考える
税金がかからないとしても、100万円を出してよいかは別問題です。70代夫婦で年金が月20万円なら、まず自分たちの生活を守ることを優先しましょう。
毎月の生活費が年金内で収まっているか、医療費や介護費に備えた貯蓄があるか、住宅の修繕費や家電の買い替え費用を用意できているかを確認する必要があります。
70代以降は、病気や介護でまとまったお金が必要になることがあります。今は元気でも、将来、介護サービス費、施設入居費、通院費、タクシー代などが増える可能性があります。100万円を出したことで、数年後に自分たちの生活が苦しくなるなら、本末転倒です。
まず、現在の貯蓄額から生活防衛資金を分けて考えましょう。少なくとも、数年分の生活費や医療・介護の備えは残しておきたいところです。貯蓄が十分にあり、100万円を出しても生活に支障がないなら、援助を検討してもよいでしょう。
反対に、年金月20万円で毎月赤字が出ている場合や、貯蓄が少ない場合は、100万円を一括で出すのは慎重にすべきです。孫を助けたい気持ちがあっても、自分たちが困ったときに子ども世帯へ負担をかけることになりかねません。
一括でなく分割や目的限定の援助にする
100万円の援助が重いと感じるなら、無理に一括で出す必要はありません。
たとえば、入学金の一部として30万円だけ出す、初年度の教科書代やパソコン代を負担する、毎月1万円ずつ仕送りするなど、家計に合った方法があります。孫にとっても、必要な場面で確実に使える援助のほうが助かることがあります。
また、援助の目的を明確にすることも大切です。「大学の入学金に使う」「前期授業料に充てる」「教材費として使う」と決め、請求書や領収書を保管しておきましょう。教育費として必要な都度支払ったことが分かれば、税務上も説明しやすくなります。
子ども夫婦とも話し合いましょう。なぜ100万円が必要なのか、奨学金や教育ローンは検討したのか、親がいくら負担するのかを確認することが大切です。祖父母だけが大きな負担を背負う形になると、後で不公平感が残ることがあります。
「全額は難しいけれど、入学金の一部なら出せる」と伝えても問題ありません。援助は義務ではなく、あくまでできる範囲で行うものです。
まとめ
孫の大学入学で100万円を援助する場合、入学金や授業料など通常必要な教育費を、必要な都度支払うなら贈与税はかかりにくいとされています。現金をまとめて渡すより、学校へ直接振り込む方法のほうが安心です。
また、贈与税には年間110万円の基礎控除があります。100万円だけなら基礎控除内に収まる可能性がありますが、孫が同じ年にほかの贈与を受けている場合は合計額に注意が必要です。
ただし、税金より大切なのは、70代夫婦の老後資金です。年金月20万円で暮らしているなら、医療費、介護費、住宅修繕費、将来の生活費を残したうえで判断しましょう。
100万円を出すのが不安なら、30万円だけ、教材費だけ、毎月少額ずつなど、無理のない援助にしてもかまいません。孫を応援する気持ちは、金額だけで決まるものではありません。自分たちの暮らしを守りながら、できる範囲で支えることが、家族全体にとって安心できる選択です。
【FPコメント】
教育費の援助では、教育費の非課税分と年間110万円の基礎控除は別の仕組みとして考えるのがポイントです。
祖父母など扶養義務者から、通常必要な学費等を必要な都度、実際に教育費へ充てるために受ける金銭は、110万円を超えても贈与税がかからないのが基本です。
一方、学費名目であってもその年に支払う学費を超える額での贈与を受け、それが残ってしまうと、この教育費の非課税扱いから外れる可能性があります。
また、110万円の基礎控除は贈与者ごとではなく受け取る側一人あたりの年間合計です。孫がほかの人から贈与を受ける予定があれば、その贈与も合算して確認しましょう。
また、月20万円という年金額における100万円の支出は将来ジワジワとその大きさを感じていくことになる可能性があります。現状の収支から将来の生活に不安が出るようであれば、100万円といわず事情を説明したうえで一部のみに抑えておくことも大切でしょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
監修 : 柘植輝
行政書士
