
修理費を請求するには、相手の故意・過失と因果関係がポイント
民法709条では、故意または過失によって他人の権利や利益を侵害した場合、損害賠償責任を負うと定めています。駐車中の車のドアを隣の車がぶつけて傷を付けたのであれば、その修理費を請求できる可能性があります。
ただし、「隣の車がいつも白線を越えている」という事実だけで、今回の傷もその車が付けたと断定できるわけではありません。請求する側としては、相手の車との接触が原因だったと説明できる材料が重要です。
20センチのはみ出しは「状況証拠」にはなっても決定打とは限らない
相手が毎回20センチほどこちら側へはみ出していたのであれば、接触しやすい状態を作っていたという事情にはなります。過去の写真が残っていれば、駐車状況を説明する材料になるでしょう。
しかし、車の傷は買い物先や道路上など別の場所で付くこともあります。はみ出し駐車の写真だけでは、「この傷は隣の車が付けた」とまでは証明できないことがあります。傷の位置と相手車両のドアやバンパーの高さが一致するか、相手側にも塗料や傷が残っていないか、防犯カメラがないかなどを確認することが重要です。
証拠がないから必ず自腹、というわけでもない
夫のいう「証拠がないなら自腹」という考え方は、半分は正しいものの、最初から諦める必要はありません。決定的な映像がなくても、傷の形状、塗料の付着、駐車状況、相手車両の傷、目撃者など複数の事情を組み合わせて判断できることがあります。
まず修理前に傷の写真を複数の角度から撮影し、修理工場にも「どのような接触でできた傷と考えられるか」を確認するとよいでしょう。駐車場の管理会社や管理組合に防犯カメラの有無を問い合わせることも考えられます。
相手に全額請求できるかは「8万円が必要な修理か」も確認
相手の責任が認められた場合でも、請求できるのは原則として事故によって生じた相当な損害です。修理見積もりが8万円なら、その内容が傷を元に戻すために必要な範囲かを確認することになります。
例えば今回の傷とは無関係な古いへこみまで一緒に直した費用をすべて相手へ請求することは難しいでしょう。逆に、傷の補修に塗装が必要で8万円かかるという見積もりなら、その金額が損害額の資料になります。
今後のために、はみ出し駐車そのものも管理者へ相談する
今回の傷について立証が難しかったとしても、白線を20センチ越える駐車が繰り返されている問題は別に対処できます。契約駐車場やマンションの駐車場であれば、管理会社や管理組合へ写真とともに相談し、区画内に収めて駐車するよう注意してもらう方法があります。
相手へ直接強く抗議するとトラブルになることもあるため、管理者を通じて改善を求めるほうが安全な場合もあります。また今後の被害に備え、駐車時の状況を定期的に撮影しておくとよいでしょう。
まとめ
隣の車が毎回20センチほど白線を越えていて、自分の車に8万円の修理が必要な傷が付いたとしても、はみ出し駐車だけで相手に全額負担を求められるとは限りません。重要なのは、その車との接触で傷が生じたことを確認できるかです。
防犯カメラがなくても、傷の位置や形、相手車両の状態、過去の駐車写真などが判断材料になります。証拠を残したうえで管理者や保険会社へ相談し、今回の損害と今後のはみ出し駐車の改善を分けて考えるとよいでしょう。
出典
e-Gov法令検索 民法
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
