
離婚すると将来もらえる年金は減る?
離婚すると、将来受け取る年金が減る場合があります。ただし、すべての人が減額されるわけではなく、年金の加入状況などによって影響は異なります。
日本の公的年金は、主に「国民年金」と「厚生年金」の2つで構成されています。国民年金は、原則として20歳以上60歳未満のすべての人が加入する制度です。一方、厚生年金には主に会社員や公務員が加入し、給与や加入期間などに応じて受給額が決まります。
このうち、離婚によって影響を受ける可能性があるのは、主に厚生年金です。国民年金の老齢基礎年金は、離婚時の年金分割によって直接減ることはありません。
例えば、夫が会社員、妻が専業主婦の夫婦が離婚した場合、夫の厚生年金記録が一部分割され、妻に配分されることがあります。この場合、夫の将来の年金額が減る一方で、妻の受給額は増える仕組みです。
また、夫婦ともに会社員として働いている場合は、双方の厚生年金の加入記録などによって影響が異なるため、一概にどちらの年金が減るとはいえません。そのため、離婚後の年金額が気になる場合は、年金事務所で自身の加入記録や年金分割による影響を確認しておくとよいでしょう。
離婚に伴う年金額の変化
結婚20年で離婚した場合でも、年金が一律に何万円減るという決まりはありません。実際の増減額は、婚姻期間中の収入や厚生年金の加入期間、夫婦それぞれの年金記録などによって異なります。
仮に、夫が会社員、妻が専業主婦で、婚姻期間中の夫の厚生年金記録に相当する年金額が月6万円だったとしましょう。この部分を2分の1ずつ分割すると、夫に相当する金額は月3万円となり、妻にも月3万円分が配分される計算です。つまり、夫の年金は月3万円減り、妻は同額が増えることになります。
ただし、これは年金分割の仕組みを説明するための単純な計算例であり、実際の受給額は婚姻期間以外の年金記録や夫婦双方の加入状況などによって変わります。
また、分割の対象となるのは婚姻期間中の厚生年金記録に限られるため、結婚前からの年金記録まで半分になるわけではありません。
このように、離婚による年金への影響は個人によって異なります。将来の受給額を把握するためにも、年金事務所で年金分割に関する情報を確認しておくとよいでしょう。
離婚時の年金分割制度と手続きの注意点
離婚時の「年金分割制度」とは、婚姻期間中の厚生年金の記録を夫婦間で分割する制度で、「合意分割」と「3号分割」の2種類があります。
合意分割は、夫婦の話し合いや裁判手続きによって分割割合を決める方法です。分割後の割合は、双方の対象となる厚生年金記録の合計に対して、原則として2分の1が上限となります。
一方、3号分割は、会社員などに扶養されていた配偶者が利用できる制度です。2008年4月以降の対象期間については、相手の合意がなくても厚生年金記録を2分の1ずつ分割できます。ただし、3号分割の対象となるのは、2008年4月以降に配偶者の扶養に入っていた期間です。そのため、結婚生活が20年に及んでも、すべての期間が対象になるとはかぎりません。
また、年金分割には請求期限が設けられています。2026年4月1日以降に離婚した場合は原則5年以内、それ以前に離婚した場合は原則2年以内に請求する必要があるため、早めに手続きを確認しておきましょう。
なお、離婚前でも、年金事務所で「年金分割のための情報通知書」を請求できます。この書類では対象期間や分割割合の範囲などを確認できるため、将来の受給額を検討する際にも役立つでしょう。
離婚前に将来の年金額を確認しておこう
結婚20年で離婚する場合、年金が減るかどうかは夫婦の働き方や厚生年金の加入状況などによって異なります。年金分割によって受給額が減る人もいれば、増える人もいるため、離婚前に自分の年金記録を確認することが大切です。
将来の年金額を把握するには、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」を活用し、必要に応じて年金事務所に相談することをおすすめします。そのうえで、生活費や住居費、貯蓄などを見直せば、離婚後の生活設計をより具体的に考えられるでしょう。
出典
日本年金機構 離婚時の年金分割
日本年金機構 離婚時の厚生年金の分割(合意分割制度)
日本年金機構 離婚時の厚生年金の分割(3号分割制度)
日本年金機構 年金用語集 な行 年金の分割
日本年金機構 離婚時の年金分割の請求期限が改正されました
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
