
昔も今も「年収500万円」なら生活水準は同じ?
2000年と2025年では、同じ500万円で購入できる商品やサービスの量が同じではありません。総務省の消費者物価指数をもとに比較すると、2000年から2025年にかけて、総合指数は約15%上昇しています。
これは、2000年に年間400万円で購入できた商品やサービスが、総合指数と同じ割合で値上がりした場合、2025年には約460万円が必要になる計算です。つまり、年収が同じ500万円でも、物価が上昇した分だけ、実質的な購買力は低下していることになります。
母親が家計をやりくりしていた2000年頃と、現在の生活を単純に比較はできません。
食費や電気代はどれくらい上がった?
物価の中でも、日々の生活で負担を感じやすいものとして食費や光熱費が挙げられます。消費者物価指数を比較すると、2000年から2025年にかけて、食料は約44%、電気代は約35%上昇しています。
例えば、2000年に月5万円だった食費が同じ割合で上昇したと仮定すると、現在では約7万2000円が必要です。年間では60万円から約86万円となり、約26万円の負担増になります。
もちろん、実際の食費は家族構成や購入する商品によって異なります。それでも、毎日の買い物で必要な金額が増えれば、以前と同じように節約していても、貯蓄に回せるお金が少なくなる可能性があります。
昔より税金や社会保険料の負担も増えている
物価だけでなく、税金や社会保険料の負担にも変化があります。財務省が公表する国民負担率(国民所得に対する税金と社会保障負担の割合を示す指標)を見てみましょう。
2000年度は35%程度だったのに対し、2026年度は45.7%となっています。約25年間で10ポイント程度上昇しており、国全体で見た負担は重くなっています。
なお、国民負担率は個人の給与から引かれる割合ではありません。そのため、年収500万円の人の手取りが一律に10%減ったという意味ではない点には、注意が必要です。
平均年収は25年間でどれくらい増えた?
一方、給与は物価ほど大きく上昇しているのでしょうか。国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の平均年収は、2000年が約461万円、2025年が約487万円です。
25年間で増えた金額は約26万円、上昇率は約5.6%にとどまります。もちろん、平均年収は個々の家庭の収入を示すものではありません。とはいえ、全体として見れば、平均年収の上昇率は、同期間の総合物価指数の上昇率を下回っているといえます。
「児童手当もあるのに」と言われたけれど……
現在の児童手当は、原則として高校生年代までの子どもを対象に支給されています。支給額は、第1子・第2子の場合、3歳未満なら月1万5000円、3歳以上なら月1万円です。第3子以降は原則月3万円となります。
児童手当によって生活が助かっている家庭もありますが、児童手当があるからといって、家計が必ず安定するというわけではありません。物価高などにより、児童手当があっても生活に余裕がない家庭もあるでしょう。
週5日パートでも貯蓄できないのは努力不足?
本記事の女性が貯蓄を増やせない理由を、努力不足と決めつけることはできません。昔と同じ年収でも、手元に残るお金は同じではありませんし、住宅ローンの返済額や子どもの人数、住んでいる地域によって必要な生活費は異なります。
また、週5日働いていても、時給や勤務時間によって収入には差があります。まずは家計の収支を確認し、通信費や保険料などの固定費に見直せる部分がないか考えるとよいでしょう。
ただし、必要な教育費や食費まで無理に削るのではなく、家族の生活を維持できる範囲で取り組むことが大切です。
まとめ
2000年と2025年では、同じ年収500万円でも生活環境が大きく異なります。総合物価指数は約15%上昇し、食料や電気代はそれ以上に値上がりしています。一方、平均年収の上昇率は物価の上昇率にはおよびません。
児童手当やパート収入があっても、住宅ローンや教育費などの負担によっては、貯蓄が難しい家庭もあるでしょう。昔の家計と単純に比較するのではなく、現在の物価や家族構成、収入と支出を踏まえて考えることが重要です。
出典
財務省 国民負担率(対国民所得比)の推移
国税庁 令和7年分民間給与実態統計調査-調査結果報告-
国税庁 II 1年を通じて勤務した給与所得者
総務省 消費者物価指数 2020年基準消費者物価指数 長期時系列データ 品目別価格指数 全国
執筆者 : 三浦大幸
2級ファイナンシャルプランニング技能士/ITパスポート/日商簿記3級/第一種衛生管理者/証券外務員/英検2級など
