
時短勤務を利用する同僚を責めるのではなく、業務配分を会社に相談する
育児のための短時間勤務制度は、一定の要件を満たす労働者が利用できる法定制度です。会社は制度利用を理由に不利益な扱いをすることはできません。そのため、「16時に帰る同僚を残業させればよい」という解決策は避けるべきです。
一方、問い合わせ対応や緊急案件が毎日一人に集中する状態を、会社が何も調整せず放置してよいということでもありません。時間帯ごとの担当者を決める、当番制にする、業務を複数人で共有するなど、職場側の体制を見直すことが必要です。
給与が同じでも、残業代は確認しておく
時短勤務者の退勤後に仕事が集中し、その結果として自分の終業時刻を過ぎて働いているなら、残業代の問題が生じます。法定労働時間を超える時間外労働には、原則として割増賃金が必要です。「基本給が変わっていないから仕方ない」と考えるのではなく、勤怠システムに実際の退勤時刻を正しく記録しましょう。
業務代替者への手当を支援する助成制度もある
厚生労働省の「育休中等業務代替支援コース」では、育児のための短時間勤務者の業務を代替する周囲の社員に手当を支給した事業主への助成があります。2026年度は手当支給等について企業規模要件が撤廃されています。
これは、すべての会社に手当の支給を義務づける制度ではありません。ただ、会社側には「手当を出す」「業務を分散する」「代替要員を確保する」といった選択肢があることを示しています。
負担を伝えるときは、件数と時間を記録する
「仕事が増えてつらい」とだけ伝えるより、16時以降の問い合わせ件数、トラブル対応に要した時間、残業時間、通常業務が遅れた件数などを1~2週間記録してみましょう。数字があれば、業務量の偏りを客観的に説明できます。
時短勤務者がいること自体を問題にするのではなく、「16時以降の業務を誰が担うかという設計がない」ことを課題として伝えるのがポイントです。
短時間勤務制度を持続させるためにも「代替する側」の設計が必要
短時間勤務が利用しにくい職場では、育児や介護を理由に離職する人が増えるおそれがあります。一方で、制度利用者の仕事を特定の一人だけが抱える運用では、今度は代替する側が疲弊します。どちらかに我慢を集中させないことが制度を長く続けるうえで重要です。
問い合わせ窓口をチーム共通にする、FAQや対応履歴を共有する、緊急度の低い案件は翌日に回すなど、仕事の仕組み自体を変える方法もあります。個人の善意だけで毎日対応し続けないようにしましょう。
まとめ
時短勤務を利用する同僚が早く帰ること自体は、制度に基づく働き方です。ただし、その後の問い合わせやトラブル対応が特定の社員に集中する状態まで無条件で受け入れる必要はありません。残業が発生しているなら賃金の扱いを確認し、業務件数や残業時間を記録したうえで、担当分散や手当、当番制などを会社へ相談しましょう。
出典
厚生労働省 育休中等業務代替支援コース
厚生労働省 労働基準法
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
