
クレジットカード払いを断ること自体がただちに「違法」とは限らない
クレジットカードの加盟店は、カード会社などと「加盟店契約」を結んでいます。ただし、これはあくまでも加盟店とカード会社の契約なので、カード払いを断ったからといって、それだけでただちに違法になるものではありません。
しかしカード会社によっては、加盟店が独自にカード利用を制限することを加盟店規約で禁止しています。例えばJCBでは、加盟店によるカード利用の拒否や、カードを利用できない時間帯の設定、利用可能金額に上限・下限を設けることは禁止です。
このように「ランチタイムはカード不可」「3000円以上でなければカード不可」といった店舗独自のルールは、加盟店契約に違反する可能性があります。
「カード手数料がかかる」という店側の事情もある
店側がカード払いを避けたい理由のひとつが「加盟店手数料」です。加盟店手数料とは、客がクレジットカードなどで支払った際に、店舗が決済事業者に支払う手数料のことです。
例えば1800円のランチ代を支払う場合、同じ1800円支払いでも、カード決済だと支払い額に対して手数料がかかるので、現金払いよりも店の収益は減ってしまうことになります。特に価格を抑えて提供していることが多いランチでは、「できるだけ現金で支払ってほしい」と考える店舗もあるでしょう。
しかし、加盟店としてクレジットカードを取り扱っている以上、手数料がかかることを理由に、特定の時間帯や金額だけカード利用を断ることは、加盟店規約上問題になる可能性があります。
1800円のランチでATM手数料220円なら実質2020円の負担
今回のケースのように、ランチ代が1800円で、現金を持っていなかったためATMを利用し、220円の手数料がかかったとします。この場合、食事代そのものは1800円ですが、結果として財布から出ていくお金は2020円です。
さらにクレジットカードでポイントが付く予定だった場合、その分の還元も受けることができません。もしも1%還元のカードなら、1800円の決済で18円相当となり、ATM手数料と合わせれば、カードで予定通り支払えた場合との差は238円相当になってしまいます。
このように考えると、3~7%程度であることが多い店側の「手数料の負担」よりも、客の「ランチ代以外の負担」の方が大きくなることもあるのです。
カード払いを断られたらどうすればいい?
カード払いができない理由は、「店の意向」だけとは限りません。通信障害や決済端末の故障など、一時的にカードを利用できない事情がある可能性もあり、このような場合は、店にも重度の落ち度があるわけではないので、カード利用不可は仕方ないと言えるでしょう。
一方、「ランチは利益が少ないから」「3000円以上でなければ使えない」といった店舗独自の条件で断られた場合は、加盟店契約違反の可能性があります。
利用するカードブランドや加盟店契約の内容によってルールが異なる場合がありますが、疑問がある場合は、自分が利用しようとしたカードの発行会社などへ確認するとよいでしょう。
その場で店員に言いにくい場合は、後日支払いをしたことが分かるレシートを元にカード会社に相談することもできます。
「クレカ払い拒否」は違法ではないが、加盟店規約違反。相談を検討して
クレジットカード加盟店でカード払いを断られたとしても、それだけでただちに違法になるとは限りません。
ただし、加盟店にはカード会社などとの契約があり、店側の都合で「ランチは現金のみ」「3000円未満はカード不可」などの条件を設けることは、加盟店規約に違反する可能性があります。
しかし、カード決済ができない理由には、端末の故障といった、やむを得ない事情もあります。まずは店舗に理由を確認し、加盟店独自のルールによる利用拒否と思われる場合には、カード会社への相談を検討してみるようにしましょう。
執筆者 : 渡辺あい
FP2級、防災士
