
同じ口座で損を出すと、引かれた税金が戻る
特定口座で「源泉徴収あり」を選ぶと、株を売るたびに、利益に対して所得税と復興特別所得税15.315%、住民税5%の税金が差し引かれます。税金の計算は、証券会社がその年の売買をまとめて行う形です。そのため、同じ口座で損失が出ると、それまでの利益と差し引きされます。
損失で利益が減った分、すでに引かれていた税金が口座に戻される仕組みです。友人の「年内に手放せば戻る」は、この仕組みを指しているわけです。
ただし、損失を出した株が別の証券会社の口座にある場合は、自動では差し引きされません。他の口座の損益と相殺するには、確定申告が必要です。
損失25万円を出すと、税金はいくら戻るのか
今回のケースでは、利益40万円と損失25万円は、同じ源泉徴収ありの特定口座で出たものとして計算します。
・40万円×20.315%=8万1260円(すでに引かれた税金)
・40万円-25万円=15万円(損失を差し引いたあとの利益)
・15万円×20.315%=3万472円(差し引いたあとの税金)
・8万1260円-3万472円=5万788円(戻る税金)
戻る税金は約5万円で、引かれた約8万1000円の6割ほどにあたります。含み損は、売っても売らなくても値下がりした分の損であることに変わりはありません。売って損失を確定させることで、その損失を利益と差し引きでき、税金が戻るわけです。
損失が利益より大きければ、引かれた税金は全額戻ります。それでも残った損失は、確定申告をすれば翌年以降3年間、株の利益から差し引けます。
なお、その年の損益に入るのは、受渡日が年内になる売買です。受け渡しは売買した日から数えて3営業日目で、2026年は12月31日が休業日のため、12月28日の売買までが年内の分になる計算です。
売った株を買い戻すときは、何に気をつければよいか
値下がりした株を売ったあと、同じ銘柄を買い直して持ち続けたいと考える人もいるでしょう。気をつけたい点は3つあります。
1つ目は、買い直す日です。同じ銘柄を何回かに分けて買った場合、取得費は買った値段を平均して計算します。
特定口座では、同じ日に売りと買い直しをすると買いが先にあったものとして扱われることが多く、平均した値段で損失が計算されて、出したはずの損失が小さくなる可能性があります。買い直すなら、売った翌日以降にするほうが安心です。
2つ目は、手数料と値動きです。売買の手数料がかかる証券会社では、戻る税金がその分減ります。売ってから買い直すまでに値上がりすれば、同じ株数を買い戻すのに多くのお金が要ります。
3つ目は、税金がなくなるわけではないことです。安く買い直した株は、その後に値上がりして売ると、利益が大きく出ます。今回戻った5万788円は、将来の利益にかかる税金として、あとで払う形になるケースもあるでしょう。
まとめ
源泉徴収ありの特定口座では、同じ口座で出た損失が利益と差し引きされ、引かれていた税金が戻ります。今回のケースでは、損失25万円を出すと約5万円が戻る計算です。
受渡日が年内になるように売り、買い直すなら翌日以降にするなど、手数料や値動きとあわせて検討するとよいでしょう。
出典
国税庁 No.1476 特定口座制度
国税庁 No.1466 同一銘柄の株式等を2回以上にわたって購入している場合の取得費
執筆者 : 高橋祐太
2級ファイナンシャルプランナー技能士
