
管理職になると残業代が出ない?
労働基準法では、監督もしくは管理の地位にある者(いわゆる管理監督者)について、労働時間や休日などに関する規定を適用しないとしています。管理監督者に該当するかどうかは、「課長」「店長」といった役職名だけではなく、職務内容や責任・権限、勤務態様などの待遇を踏まえた判断が大切です。
一般的に課長などの役職に付くことで残業代が付かなくなるのは、この管理監督者に該当すると判断されるためです。
月給が40万円→37万円なら年間36万円のマイナス
今回の事例では、現在の月給40万円の内訳を、基本給など34万円と残業代6万円とします。管理職への昇進によって基本給などが3万円上がれば37万円になりますが、残業代6万円がなくなると、毎月の給与は3万円減ります。これが1年間続けば、年間36万円の減収です(3万円×12ヶ月)。
「昇進して仕事の責任は重くなったのに、年間36万円も減るなら損」と感じても不思議ではないでしょう。
ボーナスまで含めれば逆転する可能性も
ただし、給与を比較するときは毎月の金額だけではなく、ボーナスも確認する必要があります。例えば、現在のボーナスが年間100万円、管理職になると年間150万円になる会社だったとしましょう。
現在の年収は、次のとおりです。
40万円×12ヶ月+100万円=580万円
これが、管理職になるとこう変わります。
37万円×12ヶ月+150万円=594万円
この事例では、毎月の給与は3万円下がっているにもかかわらず、年収では管理職のほうが14万円高くなりました。実際の給与制度は会社によって異なりますが、月給40万円から37万円になったという事実だけで、昇進後の年収のほうが低いとは断言できません。役職手当や賞与の算定方法なども確認する必要があるでしょう。
実際、役職者はどれくらい年収が高い?
厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」を基に、年収を概算すると、企業規模10人以上の前提では次のようになります。
・非役職者:約498万円
・係長級:約686万円
・課長級:約872万円
課長級と非役職者では、平均で年間約374万円の差があります。もちろん、非役職者が課長になれば、誰でも年収が374万円増えるという意味ではありません。あくまでもこの数値は、年齢や勤続年数なども異なる人たちを比較した平均値です。
とはいえ、一般的には役職が上がるほど平均的な年収水準は高くなっていることが分かります。
管理職になるメリットは年収だけではない
管理職への昇進には、給与以外の面もあります。例えば、部下の育成や予算管理、業務の意思決定など、一般社員では経験しにくい仕事を任されることもあるでしょう。責任が重くなる一方で、仕事の裁量が広がることにやりがいを感じる人も少なくありません。
また、マネジメント経験を積むことは、その後のキャリアを考えるうえで1つの材料になります。転職する際に、「何人の部下をマネジメントしたのか」「どの程度の予算やプロジェクトを任されていたのか」といった管理職としての経験をアピールできる場合があります。
まとめ
管理職となることで月給が少なくなることも考えられますが、ボーナスなどを含めれば年収は増える可能性はあります。また、将来的な昇給や昇進まで考えれば、生涯賃金では管理職のほうが高くなるケースは多いでしょう。
目先の月給だけで判断せず、管理職になった場合のボーナス、昇給カーブ、今後のキャリアなども含め、自分にとって昇進するメリットがあるか考えることが大切です。
出典
厚生労働省 令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況
執筆者 : 三浦大幸
2級ファイナンシャルプランニング技能士/ITパスポート/日商簿記3級/第一種衛生管理者/証券外務員/英検2級など
