
変動金利の基準になる「短期プライムレート」とは
変動金利の住宅ローンでは、銀行が定める基準金利から、契約時に決めた引き下げ幅を差し引いた金利が適用されます。引き下げ幅が一定であれば、基準金利が上がった分だけ適用金利も上がる仕組みです。
大手銀行では、この基準金利を短期プライムレートに連動させる仕組みが広く使われています。短期プライムレートとは、銀行が信用力の高い企業に1年以内の期間で貸し出す際の最優遇金利です。
例えば、三菱UFJ銀行は、2026年6月の利上げを受けて短期プライムレートを2.125%から2.375%へ、0.25%引き上げました。このように、基準金利を短期プライムレートに連動させている銀行では、基準金利も同じ幅で上がります。
そのため、借りている人は日銀の利上げがあれば、自分のローン金利がどの程度変わるかを見通しやすいといえます。
短期プライムレートに連動しないネット銀行もある
一方、ネット銀行の中には、短期プライムレートを使わずに基準金利を決めているところがあります。
auじぶん銀行は2026年9月18日、変動金利の基準金利を10月1日から3.141%から3.741%へ、0.6%引き上げると発表しました。理由は、政策金利を含む市場金利の動向とされ、短期プライムレートへの言及はありません。
同行は、6月の利上げ後には基準金利を据え置いており、6月と9月の2回分を一度に反映した形です。また、同じくネット銀行であるPayPay銀行も、7月と10月の2回で、計0.6%引き上げています。
4000万円を借りていた場合の影響は?
では、住宅ローン金利が0.6%上昇することでどう変わるのでしょうか。
借入額4000万円、返済期間35年、元利均等返済で、auじぶん銀行の2026年9月の金利の一例である1.134%で借りた場合を例に試算してみます。この金利は、同行の2026年9月の金利の一例です。
同行では、10月1日に決まった新しい金利が2026年12月の返済日の翌日から適用され、金利は1.734%になります。しかし、5年ルールにより、毎月の返済額は当面約11万5000円のまま変わりません。
5年ルールとは、返済額を5年ごとに見直し、その間は金利が変わっても返済額を据え置く仕組みです。
ただし、金利が上がった影響は返済額の中身に表れます。毎月の返済額は利息と元金の返済で構成されていて、利息はその時点の残高に金利をかけて計算されます。そのため、金利が上がると、同じ返済額の中で利息の割合が増え、元金の返済に充てられる額が減ってしまうのです。
3回返済した後の残高約3977万円で計算すると、利息は月約3万7600円から約5万7500円へ、約2万円増えます。返済額が同じままで利息が増えるため、その分元金の減り方が遅くなります。
まとめ
日銀の利上げが計0.5%なのに変動金利が0.6%上がったケースがあるのは、一部のネット銀行が、短期プライムレートを使わずに独自に基準金利を決めているためです。こうした銀行では、次の利上げでも政策金利の上昇幅を超えて上がる可能性があります。
住宅ローンを変動金利で借りている人は、借入先の基準金利の改定履歴を確かめ、返済計画を見直しておきましょう。
出典
日本銀行 金融市場調節方針の変更について
執筆者 : 竹下ひとみ
FP2級、日商簿記2級、宅地建物取引士、証券外務員1種
