
在職老齢年金は、実際の月給ではなく「標準報酬月額」を使う
2026年度の在職老齢年金は、老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計が月65万円を超えると、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止されることがあります。総報酬月額相当額には、その月の標準報酬月額と、直近1年間の標準賞与額を12で割った額を使います。
つまり、繁忙期に残業が増えて実際の給与が5万円上がったとしても、その月の手取りや総支給額が5万円増えただけで、直ちに在職老齢年金の計算上の給与が5万円増えるとは限りません。標準報酬月額が変更されるかどうかが重要です。
残業代が一時的に増えただけなら、すぐに標準報酬月額が変わるとは限らない
標準報酬月額は原則として毎年、4月・5月・6月の報酬を基に決められ、その年の9月から翌年8月まで使われます。これを定時決定といいます。そのため、繁忙期の残業代が一時的に増えただけで、毎月すぐ標準報酬月額が変更される仕組みではありません。
ただし、4月から6月に残業が多く、その報酬が定時決定の計算に含まれる場合は、9月以降の標準報酬月額に影響することがあります。つまり、「一時的な残業だから年金には絶対に影響しない」とも言い切れません。
基本給や時給そのものが上がる場合は「随時改定」に注意
会社から「繁忙期だけ時給を上げる」「基本給を月5万円上げる」など、固定的な賃金そのものが変更される場合は事情が変わります。
固定的賃金に変動があり、その後3ヶ月の平均報酬から算定した標準報酬月額が従前と比べて2等級以上変わるなどの条件を満たすと、定時決定を待たずに標準報酬月額が変更される「随時改定」の対象になることがあります。
たとえば4月から固定給が上がり、4月・5月・6月の3ヶ月が要件を満たした場合、標準報酬月額が7月から改定されるケースがあります。標準報酬月額が上がれば、在職老齢年金の総報酬月額相当額も上がり、65万円の基準を超えるかどうかに影響します。
月5万円増えても、65万円を超えなければ年金は減らない
仮に標準報酬月額が実際に上がったとしても、在職老齢年金が必ず減るわけではありません。老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計が65万円以下なら、2026年度は原則として支給停止はありません。
たとえば基本月額が12万円、総報酬月額相当額が48万円なら合計60万円です。標準報酬月額の変更などで総報酬月額相当額が5万円上がって53万円になれば、合計は65万円で、基準額以内です。
一方、もともと合計が63万円だった人なら、同程度の上昇で65万円を超え、支給停止が発生する可能性があります。
まとめ
繁忙期だけ給与が月5万円増えても、それだけで在職老齢年金がすぐ減るとは限りません。在職老齢年金は実際の給与額ではなく、標準報酬月額などを使って計算するためです。
残業代が一時的に増えただけなのか、基本給や時給といった固定的賃金が変わったのか、また増額した時期が4~6月に重なるかによって影響は異なります。父親の年金への影響を確認するなら、給与額だけでなく現在の標準報酬月額と老齢厚生年金の基本月額を確認することがポイントです。
出典
日本年金機構 在職老齢年金の計算方法
日本年金機構 随時改定(月額変更届)
日本年金機構 標準報酬月額は、いつどのように決まるのですか。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
