
市場調査会社SNS Insiderは、光学式眼軸長測定装置市場(Optical Biometry Devices Market)に関する調査結果を発表しました。同社の市場推計によると、世界市場は2025年の3億9,500万米ドルから2035年には6億9,412万米ドルへ拡大し、2026年から2035年の年平均成長率(CAGR)は5.80%となる見通しです。白内障手術の術前検査における高精度な計測需要や、眼科診療の効率化を目的とした設備投資が、関連技術の発展を支える要因となっています。
光学式眼軸長測定装置は、眼球の前後方向の長さである眼軸長を測定し、白内障手術で使用する眼内レンズ(IOL)の度数計算を支援する診断機器です。測定精度は術後の屈折状態に関わる重要な要素であり、医療機関では患者の眼の状態に適した計測方法と診断システムの選定が求められています。高齢化に伴う眼科診療需要の増加に加え、プレミアム眼内レンズの使用や個別化された手術計画への関心も市場環境に影響しています。
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白内障手術の術前計測を支える光学診断技術の進歩
白内障手術では、眼内レンズの適切な度数を選択するため、眼軸長や角膜曲率などの測定データが必要です。これらの情報は手術前の計画に利用されるため、測定値の信頼性や検査工程の効率は、眼科医療機関が設備を評価する際の重要な基準となっています。
近年は、波長掃引型光干渉断層計(SS-OCT)を採用した光学式眼軸長測定装置が活用されています。SS-OCT技術は光学的に眼内構造を評価でき、従来の一部の計測方式では測定が難しかった眼においても、必要なデータを取得できる可能性があります。一方、重度の白内障やその他の眼の状態によっては、超音波による眼軸長測定が引き続き必要となる場合があります。
SNS Insiderの調査では、2025年の製品別市場においてSS-OCT方式の光学式眼軸長測定装置が約52.40%のシェアを占めました。一方、光学式低コヒーレンス反射測定法(OLCR)を利用した製品は、2026年から2035年にかけて年平均7.85%の成長が予測されています。医療機関の規模や必要な検査機能、導入コストによって装置の選択基準が異なることから、複数の光学計測方式が市場で利用されています。
白内障手術と眼内レンズ度数計算が主要な用途に
用途別では、白内障手術および眼内レンズ度数計算が2025年に約74.60%の市場シェアを占め、最大の需要分野となりました。白内障手術では術前計測の正確性が重要であるため、診断装置は手術計画を支える基本的な設備として利用されています。
一方、屈折矯正手術関連の用途は、2026年から2035年にかけて年平均8.45%の成長が見込まれています。屈折矯正手術や高度な眼内レンズを用いる治療計画では、眼の形状や屈折特性に関する詳細な情報が必要となるため、精密な測定技術の活用が進むと考えられます。
エンドユーザー別では、病院が2025年に約54.30%のシェアを占めました。一方、外来手術センターは年平均8.10%の成長が予測されています。眼科医療機関では、検査の処理能力、設置スペース、スタッフの作業負担などを考慮した設備の選定が今後も重要となります。
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米国の光学式眼軸長測定装置市場、2035年に1億9,932万米ドルへ
SNS Insiderの分析によると、米国市場は2025年の1億2,523万米ドルから2035年には1億9,932万米ドルに達し、2026年から2035年にかけて年平均4.76%で成長する見通しです。
米国では、眼科専門施設や外来手術センターを中心に、白内障手術に必要な術前診断設備への需要が継続しています。特に、高機能眼内レンズを用いた手術では精密な眼軸長測定が重要となるため、医療機関における装置の更新や診断機能の高度化が注目されています。
また、術前診断に関する保険償還制度や医療施設の設備投資方針も市場環境に影響しています。今後は、測定性能に加えて診断データを手術計画へ効率的に活用できるシステムが、医療機関による製品選定で重要性を増すと考えられます。
北米市場は2025年に世界最大の38.90%の売上シェアを占有
北米は2025年の世界市場において約38.90%の売上シェアを占め、最大の地域市場となりました。米国が北米市場の約81.50%を占め、白内障手術を実施する専門医療施設の集積や、先進的な眼科診断技術の利用が地域需要を支えています。
カナダでは、眼科診療設備の更新や白内障手術へのアクセス改善に向けた医療体制の整備が市場に関わっています。北米全体では、既存の診断装置の更新に加え、機器の保守サービスや診療システムとの連携が、医療機器メーカーにとって継続的な事業機会となっています。
欧州市場ではドイツが24.50%を占め、術前診断の効率化が重要に
欧州は世界第2位の地域市場であり、ドイツ、英国、フランスが主要な需要国となっています。SNS Insiderの調査によると、ドイツは2025年に欧州市場の約24.50%を占めました。
ドイツでは、眼科専門医療機関や医療機器産業の基盤が、高精度診断装置への需要を支える要素となっています。英国では、医療機関における白内障診療の効率化や術前検査体制の改善が、診断装置の運用を考えるうえで重要なテーマです。
欧州では、医療機器規制への対応、診断データの管理、既存設備との互換性なども製品導入時の判断材料となります。今後は測定精度だけでなく、眼科診療全体の効率を向上させる統合型システムへの関心が続くと考えられます。
アジア太平洋市場は年平均9.85%の成長見通し、日本では機器更新と高精度計測に注目
アジア太平洋地域は、2026年から2035年にかけて年平均9.85%の成長が予測され、最も高い成長率が見込まれる地域です。2025年には中国が地域市場の約33.80%を占め、眼科医療施設の拡充や医療機器の供給体制の発展が需要を支えています。
インドや東南アジアでも、眼科医療へのアクセス改善や白内障手術体制の拡充が進むことにより、診断機器の新規導入機会が生まれると考えられます。
日本では、高度な眼科診断技術がすでに導入されていることから、新規設備への投資だけでなく、既存装置の更新や診断機能の改善が重要です。特に、術前計測データと眼内レンズ度数計算、手術計画を連携させる技術は、眼科医療機関の業務効率化を検討するうえで注目されます。
日本の医療機器メーカーや関連技術サプライヤーにとっては、国内の設備更新需要に加え、アジア太平洋地域における眼科医療インフラ投資の拡大も事業展開を検討する機会となります。
なお、年平均9.85%という成長率はアジア太平洋地域全体の予測であり、日本単独の市場成長率を示すものではありません。
AIを活用した眼内レンズ計算と診断システムの統合が技術開発の焦点に
光学式眼軸長測定装置の技術開発では、眼軸長の測定だけでなく、角膜形状の評価や複数の眼内レンズ度数計算式への対応など、診断機能の拡充が進んでいます。医療機関では、検査から手術計画までの情報を効率的に利用できる環境が重要となっています。
人工知能(AI)を活用した眼内レンズ度数計算も研究開発が進む領域の一つです。こうした技術は、測定データを分析して手術計画を支援する可能性がありますが、実際の有用性や適用範囲は製品や患者の状態によって異なります。
一方、高性能な診断機器の導入には初期費用、保守契約、ソフトウェア更新、スタッフ教育などが必要です。医療機関では、装置の測定性能と運用費用のバランスを考慮することが重要となります。
主要企業の事業展開と市場競争
世界の光学式眼軸長測定装置市場には、Carl Zeiss Meditec、Haag-Streit、Topcon、Nidek、Tomey、Alconなど、眼科診断・手術関連分野に関わる企業が存在します。各社の製品構成は異なりますが、精密計測技術、診断システムの連携、眼科医療機関の検査工程への対応などが重要な競争要素となっています。
2024年4月には、Carl Zeiss MeditecがDutch Ophthalmic Research Center(D.O.R.C.)の買収を完了しました。この取引は、眼科手術分野の製品ポートフォリオ拡充に関わるものであり、診断機器と手術関連技術を組み合わせた事業展開の方向性を示す動きの一つと考えられます。
今後は、診断機器単体の性能向上だけでなく、医療機関の運用環境に適したソフトウェアや関連サービスの提供も重要になると考えられます。
調査レポートについて
SNS Insiderの「Optical Biometry Devices Market」レポートでは、2025年を基準年として2035年までの市場規模と成長見通しを分析しています。製品別ではSS-OCT方式、OLCR方式、その他の光学計測技術を対象とし、用途別では白内障手術、眼内レンズ度数計算、屈折矯正手術などの需要動向を取り上げています。
さらに、病院、外来手術センター、眼科診療施設などのエンドユーザー別市場に加え、北米、欧州、日本を含むアジア太平洋、中東・アフリカ、中南米の地域別市場を分析しています。
その他の市場調査レポート
細胞治療ロジスティクス市場(Cell Therapy Logistics Market): https://www.snsinsider.com/reports/ja/cell-therapy-logistics-market-10715
高齢者介護支援ロボット市場(Elder Care Assistive Robots Market): https://www.snsinsider.com/reports/ja/elder-care-assistive-robots-market-8515
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