
主要市場のハイライト
● 先進メータリングインフラ(AMI)市場は、2025年の333億8,000万米ドルから2035年までに697億8,000万米ドルへと成長し、2026年から2035年にかけて年平均成長率(CAGR)8.54%を記録すると予測されています。スマートグリッドの近代化、電力会社のデジタル化、再生可能エネルギーの統合、および双方向通信ネットワークへの投資の増加が、世界中でインテリジェントメータリングインフラの大規模な導入を牽引しています。
● 電力会社は、スマートメーターと電力会社の制御システム間の安全でリアルタイムなデータ交換を実現するため、RFメッシュネットワーク、電力線通信(PLC)、セルラー(4G/5G)、Wi-Fi、およびLPWAN技術の導入を拡大しています。これらの技術は、クラウドベースのAMIプラットフォーム、メーターデータ管理システム(MDMS)、ヘッドエンドシステム(HES)と組み合わせることで、請求の精度向上、停電管理、デマンドレスポンス、および予測に基づく送電網運用を実現します。
● 2025年には、中国、インド、日本、韓国における政府主導の大規模なスマートメーター導入プログラムに支えられ、アジア太平洋地域が最大の市場シェアを占めました。一方、電力会社がエネルギー効率、顧客エンゲージメント、送電網の信頼性を向上させるために家庭向けスマートメーターの設置を加速させていることから、予測期間中は住宅向けアプリケーション分野が最も急速な成長を遂げると見込まれています。
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基準年となる2025年、スマートメーター導入は大規模インフラ投資の段階へ
基準年である2025年は、先進メータリングインフラ(AMI)市場が個別の実証導入から大規模な商用展開へ移行する転換点となりました。市場規模は333億8,000万米ドルに達し、特にアジア太平洋地域では中国、インド、日本、韓国などを中心に政府主導のスマートグリッド政策と公益事業者のデジタル化投資が進展しました。インドでは2025年12月時点で、政府が州からの提案に基づき20.33 crore台のスマートメーター導入を承認し、各種制度を合わせた全国の設置台数は4.76 crore台に達しています。RDSSではスマートメーター事業をTOTEX方式の官民連携で進め、AMISPが供給・保守・運用を担う仕組みが採用されています。 さらに2026年2月までには、RDSSだけで4.54 crore台が設置され、RDSSを含む各種制度を合算した設置台数は5.97 crore台に達しました。 こうした大規模案件は、スマートメーター本体だけでなく、通信、データ管理、設置、保守、分析、セキュリティまでを含む長期的な市場機会を生み出しています。
2025年の市場を象徴する動き、AMIが「電力」から「水・ガス」へ広がる
2025年には、AMIの価値が電力分野だけに限定されないことも明確になりました。水道事業では、老朽化した配管網、漏水、無収水、検針コストなどへの対応が求められ、スマート水道メーターと通信基盤を組み合わせた高度な計量への投資が拡大しています。電力分野でも、Itronは2025年9月、米領サモア電力公社との協業拡大を発表し、スマート電力メーター、通信ネットワーク、UtilityIQヘッドエンド、前払いソフトウェアを含むAMIを導入すると発表しました。これは、AMIがメーターの交換だけではなく、請求精度、業務効率、顧客の使用量把握、遠隔地の系統管理までを一つのデジタル基盤に統合する方向へ進んでいることを示す事例です。 今後は、電力・水道・ガスを横断したマルチユーティリティ型のデータ基盤を構築できる企業ほど、公益事業者の長期的なデジタル投資を取り込む余地が大きくなると考えられます。
2026年、電化と分散型エネルギーがAMIへの投資理由をさらに強化
2026年に入ると、AMIの重要性は「検針自動化」から「電力需給を柔軟に管理するためのデータ取得」へとさらに移っています。電気自動車、家庭用蓄電池、太陽光発電、ヒートポンプ、データセンターなどの電力需要が増加する一方、屋根置き太陽光などの分散型電源も拡大しており、電力会社には需要と供給を細かな時間単位で把握する能力が求められています。インド政府は2026年3月、RDSSにおいてスマートメーター関連で1.31 lakh croreルピー、配電網の損失削減関連で1.53 lakh croreルピー、合計2.83 lakh croreルピー規模の事業を承認したと公表しました。 また、アダニ・エナジー・ソリューションズは2026年2月、配電会社向けスマートメーターの累計納入が1 crore台に到達したと発表し、次の1 crore台を翌会計年度に納入する計画を示しました。 これらの動きは、AMIが単発の設備更新ではなく、長期的な配電網改革と連動する市場になっていることを示しています。
主要企業のリスト:
● Itron, Inc.
● Landis+Gyr Group AG
● Sensus
● Honeywell International Inc.
● Siemens AG
● Schneider Electric SE
● Oracle Corporation
● Aclara Technologies LLC
● Kamstrup A/S
● Sagemcom SAS
● Wasion Holdings Limited
● Jiangsu Linyang Energy Co., Ltd.
● Genus Power Infrastructures Limited
● Iskraemeco d.d.
● その他の主要なプレイヤー
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2026年の欧州政策も追い風、スマートメーターは消費者向けデジタル基盤へ
欧州でも2026年はスマートメーターの役割が拡大する重要な年となっています。欧州委員会は2026年4月、電力小売事業者の変更に伴うデータ交換を高度化し、2026年末までに事業者変更に関するバックオフィス処理を24時間以内に完了できるようにする新たな実施規則を採択しました。こうした仕組みの基盤には、メーターデータへの相互運用可能なアクセスがあります。 さらに2026年7月に公表された欧州委員会の電化行動計画では、電力需要の電化を進めるとともに、スマートメーターの導入を加速する方向が示されています。 つまり、スマートメーターは公益事業者の業務効率化だけでなく、動的料金、需要応答、電力小売競争、消費者の省エネ行動を支える市場インフラとして評価され始めています。
2027年に向けて、通信・データ管理・AIが先進メータリングインフラ(AMI)市場の競争軸を変える
2027年に向けて市場競争の中心となるのは、スマートメーターの台数だけではありません。RFメッシュ、電力線通信、4G・5G、NB-IoT、LTE-Mなどの通信技術に加え、ヘッドエンドシステム、メーターデータ管理、クラウド、サイバーセキュリティ、データ分析をどのように統合するかが、公益事業者の選定基準として重要になります。特に大量の分散型電源や電気自動車が接続される地域では、メーターから収集される高頻度データを系統運用へ迅速に反映する能力が競争力になります。欧州委員会も2026年6月、エネルギーシステムのデジタル化とAI活用を進める戦略を公表し、スマートメーターの迅速な展開、系統高度化技術、エネルギー分野におけるAI活用、重要インフラのサイバーセキュリティを政策課題として掲げています。 したがって2027年以降は、ハードウェア供給だけでなく、データを「運用上の意思決定」に変換するソフトウェア・分析能力が市場価値を左右する可能性が高まります。
日本では第二世代スマートメーターが次の成長ステージを形成
日本市場では、既存のスマートメーター普及を前提として、第二世代スマートメーターへの移行がAMI関連市場の新たな成長機会になります。資源エネルギー庁によると、日本ではスマートメーターを原則として全需要家に導入する方針が進められており、2025年度からは、より多くのデータ取得や分散型エネルギー源の活用を可能にする第二世代スマートメーターの導入が順次開始されています。2030年代早期までに原則すべての需要家への導入を目指しており、再生可能エネルギーの導入促進、需要家側の省エネ、電力システムのデジタル化が狙われています。 これは日本におけるAMI市場が「初回設置台数を増やす市場」から、「既存インフラを次世代仕様へ更新し、新しいデータサービスを生み出す市場」へ移行していることを意味します。
セグメンテーションの概要
製品タイプ別
● スマートメーター
● 通信モジュール
● メーターデータ管理システム(MDMS)
● ヘッドエンドシステム
● メーターデータ収集装置
● ホームエリアネットワーク(HAN) デバイス
エンドユーザー別
● 電力事業者
● 水道事業者
● ガス事業者
導入形態別
● クラウド型AMI
● オンプレミス型AMI
用途別
● 住宅用
● 商業用
● 産業用
通信技術別
● 無線周波数(RF)メッシュ
● 電力線通信(PLC)
● セルラーネットワーク
● Wi-Fi
● 低電力広域ネットワーク(LPWAN)
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最大用途から住宅市場へ、需要構造そのものが変化
用途別では2025年に産業分野が最大市場となりました。製造工場、製油所、加工施設などでは、エネルギー使用量を細かく把握し、負荷予測や設備運用を改善する必要性が高く、AMI導入による運用効率向上のメリットが大きいためです。一方、2035年までの予測期間では住宅分野が最も有望な成長領域となる見通しです。住宅では、太陽光発電、家庭用蓄電池、電気自動車、ヒートポンプなどの普及によって、家庭そのものが電力消費者であると同時に発電・蓄電・需要調整を担う「プロシューマー」へ変化しています。こうした需要家を系統運用に組み込むためには、使用量だけでなく双方向の電力フローを把握できる計量基盤が不可欠であり、AMIの戦略的価値は今後さらに高まると考えられます。
高い初期投資は残るが、投資判断は「導入費」から「ライフサイクル価値」へ
先進メータリングインフラ(AMI)市場の拡大を阻む最大の課題は、依然として高額な初期投資とシステム統合の複雑さです。スマートメーター本体だけでなく、通信ネットワーク、データコンセントレータ、ヘッドエンドシステム、メーターデータ管理システム、サイバーセキュリティ、クラウドまたはオンプレミス環境、設置・保守まで必要となるため、特に中小規模の公益事業者にとっては大きな負担となります。さらに既存のSCADA、GIS、顧客情報システム、停電管理、請求システムなどとの連携も必要です。しかし、世界各地で電力需要の増加と系統の複雑化が進む中、AMIによって得られる停電対応の迅速化、検針コスト削減、請求精度向上、需要予測、損失削減、需要応答といった長期的な効果が、導入判断の重要な指標になっています。米国でも2026年に既存AMI設備とSCADAを接続するネットワーク改善プロジェクトが進められており、既存インフラとの統合が次の投資テーマとなっています。
2035年、AMIは「メーター市場」ではなくデジタル公益事業市場へ
2035年には、先進メータリングインフラ(AMI)市場は697億8,000万米ドル規模に達すると予測されています。今後10年間の成長を支えるのは、単純なスマートメーター交換需要だけではありません。再生可能エネルギー、蓄電池、電気自動車、分散型電源、データセンター、産業電化などによって電力システムの変動性が高まるほど、公益事業者には「どこで、いつ、どれだけ電力が使われているか」を把握する能力が求められます。AMIはその情報を収集し、通信し、分析し、系統運用へ反映するための基盤となります。そのため、2035年に向けた競争では、スマートメーターの製造能力だけでなく、通信、データ管理、AI分析、サイバーセキュリティ、需要応答、分散型エネルギー管理までを統合できる事業モデルが優位性を持つ可能性があります。
市場の戦略的焦点、次の成長機会は「接続台数」から「データ価値」へ
先進メータリングインフラ(AMI)市場における最大の変化は、スマートメーターが単独の計量機器ではなく、電力・ガス・水道ネットワークと需要家をつなぐデータ基盤へ進化している点にあります。アジア太平洋地域は大規模なスマートメーター導入を背景に2025年の最大市場となり、住宅用途は2035年に向けて最も高い成長機会を持つと予測されています。特にインドのRDSS、日本の第二世代スマートメーター、欧州のデータ相互運用・電化政策などは、AMIを長期的な公共インフラ投資へ押し上げる重要な事例です。今後の市場参加企業にとって重要なのは、メーターを何台販売できるかだけではなく、そのメーターから取得したデータをどのように系統の信頼性向上、需要予測、顧客サービス、エネルギー効率、分散型電源の統合へ結び付けられるかという点です。2025年の333億8,000万米ドルから2035年の697億8,000万米ドルへの市場拡大は、AMIが公益事業のデジタル変革を支える中核インフラへ移行する10年間の始まりを示しています。
先進メータリングインフラ(AMI)市場:日本企業は次の成長機会をどこに見いだすべきか
● 電力インフラの高度化は、なぜ先進メータリングインフラ(AMI)への投資を経営課題へと変えているのか
先進メータリングインフラ(AMI)市場は、単なるスマートメーターの普及市場から、電力網全体のデジタル化を支える基盤市場へと役割を広げています。2025年の333億8,000万米ドルから2035年には697億8,000万米ドルへ拡大し、2026年から2035年にかけて8.54%のCAGRが見込まれることは、電力会社だけでなく、通信、半導体、クラウド、データ分析、エネルギー管理など周辺産業にとっても新たな事業機会を示しています。特に企業経営層にとって重要なのは、AMIを単なる設備更新として捉えるのではなく、電力使用量の可視化、需要予測、遠隔検針、障害検知、料金管理などをデータ起点で高度化するための長期的なデジタルインフラ投資として評価することです。
● 先進メータリングインフラ(AMI)市場で狙うべき投資領域は、スマートメーター本体からデータ活用・運用基盤へ移行する
今後の競争優位性は、メーター機器そのものだけでなく、取得した大量の電力データをどのように管理・分析し、電力会社や需要家の意思決定につなげるかによって左右される可能性があります。そのため、日本企業が市場成長を取り込むには、通信ネットワーク、データ管理、AIによる需要予測、異常検知、エネルギー管理システム、遠隔監視など、AMIを構成する周辺領域への投資を検討することが重要です。特に既存の電力設備、通信技術、産業用ソフトウェア、IoT技術を保有する企業にとっては、既存事業とのシナジーを活用しながらAMI関連サービスへ展開できる余地があり、機器販売から継続的なソフトウェア・データサービス収益へ事業モデルを広げることが、中長期的な成長戦略の一つとなります。
● 再生可能エネルギーと分散型電源の拡大が、AMIを「検針システム」から次世代電力網のデータ基盤へ変える
太陽光発電、蓄電池、電気自動車など分散型エネルギー資源が電力システムに組み込まれるほど、電力需要と供給をリアルタイムに把握する重要性は高まります。この変化はAMI市場にとって大きな意味を持ち、従来型の定期的な検針だけではなく、需要パターンの把握、負荷管理、ピーク需要への対応、分散型電源との連携など、より高度なデータ活用への需要を生み出します。経営層が投資機会を評価する際には、スマートメーターの設置台数だけを見るのではなく、AMIがスマートグリッド、分散型エネルギー、蓄電池、電気自動車充電、需要側エネルギー管理などの成長市場とどのようにつながるかを把握することが重要であり、複数のエネルギー関連市場を横断した事業展開が競争力につながる可能性があります。
● 日本市場でAMI事業を拡大する企業は、機器供給よりも長期運用・保守・データサービスを重視すべき理由
AMIは導入して終わる設備ではなく、通信、データ管理、セキュリティ、保守、システム更新などを長期間にわたって必要とするインフラであるため、企業にとっては導入後の継続収益を獲得できる可能性があります。特に市場規模が2025年の333億8,000万米ドルから2035年に697億8,000万米ドルへ拡大する環境では、初期の機器販売だけでなく、システム統合、ネットワーク管理、ソフトウェア更新、サイバーセキュリティ、データ分析、予知保全などを組み合わせたサービス型ビジネスの構築が重要になります。日本企業が市場で持続的なポジションを確立するには、電力事業者との長期的な関係を活用し、設備・通信・ソフトウェア・保守を一体化した提案力を高めることが、価格競争を避けながら顧客接点を維持する戦略として有効です。
● 2035年を見据えたAMI投資では、短期的な機器需要より「エネルギーデータ経済圏」の形成を狙うべき
先進メータリングインフラ(AMI)市場の成長を長期的な企業価値につなげるためには、2035年までの市場拡大を単純な設備需要として捉えるのではなく、電力データを中心とした新たなサービス経済圏の形成として捉える必要があります。電力使用データの高度化は、需要予測、エネルギー効率化、分散型電源管理、電気自動車、蓄電池、スマートビルディングなど複数分野との接続点になり得るため、AMIへの投資判断は単独市場の成長率だけでなく、周辺市場への波及効果まで含めて評価することが重要です。経営層にとって今後の焦点となるのは「AMIを導入するか」ではなく、「AMIを起点としてどのデータ、サービス、顧客接点を獲得するか」であり、8.54%のCAGRで拡大する市場環境の中で、機器・通信・ソフトウェア・データ・運用サービスをどこまで統合できるかが、2035年に向けた市場ポジションを左右する重要な経営テーマとなります。
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