再生医療品質基準協議会は、2026年9月3日、「変更管理基準(JRQ-P-010)」を制定し、同日施行しました。原料、設備、試験法、情報システムなどの変更は、一件だけを見れば小さくても、組み合わさると工程の一貫性や記録の比較可能性へ影響します。本基準は、提案から実施後確認までを一つの管理単位として追跡します。 ## 変更は実施前に輪郭を持たせる 変更票には目的、理由、現行状態、変更案、対象工程、提案者、所有者を記載します。品質部門が分類と審査経路を決め、設備作業依頼、購買記録、文書改訂、変更台帳を照合します。現場で既に調整した後に書類を整える運用では、事前評価という役割を果たせません。 影響評価は担当部門の内側だけで完結させず、原料の同一性、工程性能、無菌管理、試験法、保存・搬送、データ完全性、教育、委託業務、関連ロットを横断します。評価しなかった項目にも理由を残すことで、「検討漏れ」と「影響なしの判断」を区別できます。 ## 切替点をロットで示す 導入前には、必要な適格性確認、比較試験、模擬運転、文書改訂、教育と、その判定条件を定めます。そして新旧条件の切替日時、最初に適用するロット、旧資材の処置、表示やシステムの版を明確にします。 移行期間には、旧資材と新資材、旧版と新版が同時に存在し得ます。払出記録、製造指図、設備ログ、版管理、在庫照合をつなぎ、一つのロットに未承認の条件が混在していないかを確認します。変更の履歴が残っていても、適用境界が曖昧なら個別ロットの説明はできません。 ## 緊急と一時を常態化させない 緊急変更では、緊急性、暫定的なリスク低減策、承認、事後審査期限を記録し、通常の変更管理へ統合します。一時変更には期間や使用回数、終了条件、原状復帰方法、延長手続が必要です。期限警告と復帰確認によって、例外運用が理由なく標準化することを防ぎます。 外部から変更通知を受けた場合も、受領しただけで終わりません。評価、回答、必要な照会や届出の判断を記録します。同時期に複数の変更が走るなら関連番号を結び、相互作用をまとめて評価します。 ## 導入できたことと閉鎖できること 実施後には、承認条件、関連文書、教育、対象ロット、想定外事象を確認します。変更所有者とは別の承認者が、検証資料や逸脱、工程傾向を見て、追加措置か閉鎖かを判断します。 実施前の起票・評価・承認、明確な移行境界、検証、実施後確認が連続していれば適合です。重要な波及の未評価、無承認変更、新旧条件の追跡不能、一時変更の根拠なき継続は不適合となります。変更管理の目的は変化を止めることではなく、変化の前後を比較可能に保つことです。 変更台帳を点検するときは、閉鎖件数のほか、期限超過、実施後確認の未完了、同時期に重なった変更を抽出します。個別票が整っていても、連鎖する変更番号が分断されていれば、工程全体への影響を説明できないからです。
■基準全文(協会公式サイト)
JRQ-P-010:https://jrq.or.jp/standards/jrq-p-010/
■発行元
再生医療品質基準協議会
公式サイト:https://jrq.pages.dev ※本資料は品質・表示に関する情報提供であり、効果効能を保証するものではありません。
配信元企業:一般社団法人再生医療品質基準協議会
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