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デビュー30周年の記念碑的エッセイ。12の季節をめぐる記憶に引き出され、初めて明かすほんとうの想い。村山由佳『記憶の歳時記』10月26日(木)発売。


株式会社ホーム社は、2023年10月26日(木)に村山由佳著『記憶の歳時記』を刊行いたします。2023年に作家生活30周年を迎えた作家・村山由佳が、波乱に富んだ来し方を振り返り、いまだから明かせる想いを綴った記念碑的エッセイです。

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年若いあなたの肩を「案外、大丈夫よ」とやさしくたたき、人生後半戦のあなたには「この先が楽しみ」と思わせてくれる。

デビュー作『天使の卵―エンジェルス・エッグ―』がベストセラーとなり、南房総・鴨川でのゆたかな自給自足暮らし。出奔、そして離婚、東京での綱渡りの日々。軽井沢で一目惚れした個性的すぎる中古物件での新生活、2度目の離婚と3度目の結婚――。
そんな大胆で破天荒な生きざまと、作家としての30年を支えてきたものとは?
季節・猫・モノをキーワードにひもとく、極彩色の記憶たち。人気作家になって抱えた葛藤、編集者との関係、20年隠してきたある猫の秘密、過去の恋愛の数々など、初めて明かすエピソードも必読。金言に満ちたエッセイ集。
特別書き下ろし掌編小説、軽井沢暮らしや愛猫たちの美しい写真も満載。

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【本文より】
「雨のそぼ降る季節になると、なくしてしまったもののことを考える。
引き換えに、いま手の中にあるもののことも」

電話を切り、のろのろと目を上げた。霧のような小糠雨に、新宿西口の雑踏が濡れていた。スクランブル交差点を急ぎ足に渡る人々、車のクラクション、大型電器店の騒がしい音楽。その店でついさっき買ったばかりのノートパソコンをぶらさげて、私は、近くのホテルに戻るだけの気力もなくぼんやり立ち尽くしていた。自分一人が今、たとえばあの駅から適当な電車に乗ってどこかへ消えてしまっても、誰の人生にもたいした影響はないんだろうな、と思った。
足もとの地面が砂に変わり、波にさらわれてゆくような心地がした。(水無月「いつかなくしたもの」より)

【刊行記念企画】
村山由佳デビュー30周年 特別ロングインタビュー、ホーム社文芸サイト「HB」で公開中!
前編 https://hb.homesha.co.jp/n/na14c05f74cb2
後編 https://hb.homesha.co.jp/n/n508dfb0dfcae

【著者プロフィール】
むらやま・ゆか●1964年東京都生まれ。立教大学卒業。93年『天使の卵─エンジェルス・エッグ─』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2003年『星々の舟』で直木賞、09年『ダブル・ファンタジー』で中央公論文芸賞、島清恋愛文学賞、柴田錬三郎賞、21年『風よ あらしよ』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『猫がいなけりゃ息もできない』『命とられるわけじゃない』『星屑』『ある愛の寓話』『Row&Row』等。

【書誌情報】
書名:『記憶の歳時記』
著者:村山由佳
発売日:2023年10月26日(木)
定価:1,980円(10%税込)
体裁:四六判ソフトカバー 本文240ページ+カラー口絵4ページ
発行:ホーム社/発売:集英社
ISBN:978-4-8342-5377-1
※電子書籍版は11月30日配信開始予定



配信元企業:株式会社ホーム社
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