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20~40代「働く女性1956人の生理の悩みと仕事と生活」調査(完全版) 企業が生理の悩みに向き合えば、女性はもっと活躍できる 「休むより治療」で、仕事の生産性も満足度もアップ!


日経BP 総合研究所では、働く女性の「生理の悩み」と「仕事や生活」に関する実態と、有効な「対策・支援策」を探るために、生理に伴う不快な症状がある働く女性(18~49歳)を対象にインターネット調査を実施し、1956人の有効回答を得ました。調査は総合研究所のメディカル・ヘルスラボが複数企業と運営する「生理快適プロジェクト」が企画したものです。
調査結果では、生理に伴う症状がある時の仕事の生産性は、平常時の6割に低下し、その影響は1カ月で平均4.85日、年間約60日に及ぶことが判明しました。ところが、会社の生理休暇制度は「生理への理解不足」のため申請しにくく、利用率は1割未満でした。不快な症状が強くても、有休/生理休暇を含め「仕事を休んだことがない」という人が3割強という結果になりました。
一方、「なんらかの治療と対策」により生理に伴う症状を軽減させている人は、「働き続けること」や「キャリアアップ」に積極的で、仕事への意欲が高いことがわかりました。さらに「職場が生理の不調を抱える人に理解がある」と感じている人は、職場へのエンゲージメントが高いこともわかりました。
(12月3日の速報版もあわせて参照ください。 https://special.nikkeibp.co.jp/atclh/DRS/20/seirikaiteki/

◆調査概要

調査内容:働く女性の生理に関する調査
調査対象:18歳~49歳の有職女性1956人
調査期間:2021年8月2日~8月20日
調査方法:インターネット調査
調査実施:日経BP総合研究所 実査:日経BPコンサルティング
調査結果ページURL:https://special.nikkeibp.co.jp/atclh/DRS/20/seirikaiteki/
発表日(完全版):2021年12月13日
日経xwomanをはじめ日経グループのメディア読者・ユーザーを中心に、働く女性にWEBアンケートを実施。現在生理がある、または妊娠中・産後の人で、かつ生理前や生理中に「不快な症状がある」あるいは「医療機関で治療を受けていて、不快な症状はあまり気にならない」と答えた18歳~49歳の女性1956人から回答を得た(20代以下 204人、30代 738人、40代 1014人)。

◆調査の主なトピック

1.1回の生理で平均4.85日の影響を受ける。1年に約60日、2カ月不快な状態に。仕事の生産性と満足度は、普段を10割とすると約6割に低下。

2. 治療して症状が軽減している人は、症状を我慢している人と比べ、仕事への意欲などが高い。

3. 生理休暇の利用率は1割未満。女性社員は「治療支援」「理解を高める研修」を勤務先に求めている。

4.「知識不足」と「生理の格差問題」の改善が受診促進のカギ 。

◆調査結果の解説

(1) 1回の生理で平均4.85日の影響を受ける。1年に約60日、2カ月不快な状態に。仕事の生産性と満足度は、普段を10割とすると約6割に低下。

生理前や生理中に「不快な症状がある」と答えた人の中で、「症状が強い」と答えた人は66.4%。そのうち、生理前と生理中の「いずれも症状が強い」人は31.6%、「治療して症状が軽減している」人は5.1%でした(別添資料 図1)。治療を受けずにいる人が多数派で、不快な症状が放置されている現状が判明しました。

生理に伴う不快な症状によって、「仕事の効率が落ちる」という人は75.4%とダントツのトップ。「ミスが増える」(27.8%)、「つらくて休む」(24.2%)などの回答が続きました(別添資料 図2)。
不快な症状の影響がない時を10点として、症状がある時の仕事の出来を点数で評価してもらうと、平均で6.35点でした。これは仕事の出来(生産性)が約6割に低下していることを意味します(別添資料 図3)。同様に、仕事や働くことに対する満足度/安心感(モチベーション)も約6割(6.16点)に下がるという結果も別途出ており、生産性と満足度がともに低下していることがわかりました。

不快な症状で影響を受ける日数は、生理前と生理中を合計すると、平均4.85日でした(下図)。
1カ月に1回生理があるとして1年間で約60日、不快な症状に悩まされている計算に。生理1周期につき7日間以上影響があると答えた人も2割強に達しました。

【参考】 企業に女性社員(40代以下)が100人いる場合・・・
100人×「女性特有の健康課題などにより職場で困った経験がある」62.3%※
×生産性が低下する日は月間4.85日×生産性低下率は36.5%×日当¥20,000とすると
毎月約220万円、年間約2646万円の労働損失と算出できる
※出典:経済産業省 平成29年 「働く女性の健康医推進」に関する実態調査、不調がある人の割合 62.3%

【画像 https://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000250045&id=bodyimage1

(2) 治療して症状が軽減している人は、我慢している人と比べ、仕事への意欲などが高い。

「治療して症状が軽減している」人は、「症状が強いのに治療せず我慢している」人よりも「ずっと働き続けたい」という意欲が高いことがわかりました(下図)。
同様に「キャリアアップしていきたい」という意欲も10ポイント高いという結果も得られました(別添資料 図4)。さらに、昇格・昇進試験や海外赴任への意欲が約2倍(別添資料 図5)、複数の人が関わるプロジェクトでリーダーを務めた経験率も11.5ポイント高いという結果になりました(別添資料 図6)。

▼治療して症状が軽減すると、リーダーとしての活躍や、仕事に対して前向きになる可能性が高まると考えられます。

【画像 https://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000250045&id=bodyimage2

(3) 生理休暇の利用率は1割未満。女性社員は「治療支援」「理解を高める研修」を勤務先に求めている。

職場にある、生理に伴う不快な症状を抱える女性をサポートする制度を聞いたところ、63.2%の人は生理休暇があると答え、テレワークやフレックスタイムなどの制度が続きました。しかし婦人科の受診補助や服薬支援などの制度がある人はごく少数で、組織における生理ケアの制度としては「休暇」のみで、「治療」までは至っていないことがわかりました(図7)。

従業員数1,000人以上の大企業に勤めている人は、7割が生理休暇、5割は柔軟な働き方制度があると答えているものの、9人以下の企業に勤める人の約6割は「生理による不快な症状をサポートする制度はない」と回答。生理休暇があるとの回答も25%にとどまっており、企業規模の違いによる格差が存在しています(別添資料 図8)。

生理休暇制度がある場合でも、「ほぼ毎回利用している」人は全体の1.9%、生理に伴う症状が強い人でも2.7%でした。全体の47.7%、症状が強い人の57.6%が「利用したいと思うことがあるが、利用したことがない」と答えています(別添資料 図9)。

利用しにくい生理休暇のかわりに、2割の人が生理のために有給休暇を使っていました。しかし「症状が強いが我慢している」人でも3割以上の人が「生理の症状のために仕事を休んだことがない」と答えています(別添資料 図10)。

生理休暇を利用していない理由は、「男性上司に申請しにくい」が61.8%でトップでした。「利用している人が少ないから申請しにくい」が50.5%、「休んで迷惑をかけたくない」が36.2%でした。33.9%の人が挙げた「利用するほど症状がひどくないので利用しにくい」は、症状の程度についての判断基準がないため、踏み切れない様子が伺えます(左下図)。

働く女性が勤務先に最も求めているのは「婦人科受診費用の補助」(33.4%)で、「低用量ピルの服薬支援」(30.4%)が続きました(低用量ピルは、世代別にみると若い世代ほど望む声が高い傾向にあるという結果も別途出ています)。次いで「生理についての理解を深める男性も含む全社員対象の研修」(29.6%)「管理職対象の研修」(29.2%)でした(別添資料 図11)。

職場は生理関連の不調を抱える人に対して「理解がない」と考える人が半数以上でした(別添資料 図12)。
「職場の理解がある」と答えた人は、そうでない人に比べ、上司や女性同僚からの配慮・サポートを感じており(右下図)、「職場の理解がある」と答えた人の勤務先は、「柔軟な働き方」や「診療窓口の充実」などの制度導入率が高く(別添資料 図13)、「職場の理解がある」人は「今の職場が好き」と答える比率が高いことがわかりました(別添資料 図14)。

▼「休んで迷惑をかけたくない」という声があるように、男女が同じように働き活躍することが期待される今の時代に女性だけが毎月、生理休暇を取り続けることは非常に困難です。「生理休暇を使わなくても済む」対策を整備する、つまり受診や治療を促して症状が軽減した人を増やすことが、本当のウェルビーイング経営だといえます。
▼婦人科診療の窓口を充実させたり、テレワークやフレックスタイムなど柔軟な働き方を認めるなど、勤務先が制度を整備すれば、「職場の理解がある」という評価につながりそうです。また職場全体で生理についての理解を深めることで、女性にとって働きやすい環境が生まれる可能性があります。
▼組織全体で生理に関するリテラシーを高め、社員一人ひとりの理解を深めることで「職場に理解がある」という信頼感を高めることができれば、人材の定着率向上にもつながりそうです。 


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(4)「知識不足」と「生理の格差問題」の改善が受診促進のカギ

生理に伴う不快な症状があっても医療機関を利用していない人に、その理由を尋ねたところ、症状が強い人でも55%の人が「病院に行くほどの症状でないと思うから」と答えており、「不快な症状を治療できると知らなかった」という人も1割弱存在しました(下図)。思い込みや知識不足が、婦人科受診の障壁になっている様子が伺えます。

「不快な症状を軽減するための対策」について「特に教育を受けたことがない」と答えた人が8割にのぼりました(別添資料 図15)。

従業員数9人以下の企業に勤める人とフリーランスの人は「お金がかかるから」「不快な症状を治療できると知らなかった」と回答する比率が高く、格差が生じていました(別添資料 図16)。

医療機関を受診した人にきっかけを聞いたところ、「不調を感じ、自分の意思で」が63.1%でトップ、2位は「健康診断などの結果から」が22.5%でした(別添資料 図17)。

医療機関を受診し、薬を処方された人の中で、最も効果が感じられた治療法は「低用量ピル」でした。「症状が出なくなった」約3割の人を含め、約7割が「症状がほぼ改善した」と回答しています(別添資料 図18)。

▼生理に伴う不調について知識が不足しているため、ひどい生理痛は「月経困難症」という病気であることや、生理痛や過多月経の原因が「子宮内膜症」や「子宮筋腫」などの婦人科系疾患である可能性について、正しく理解されていないと考えられます。
▼「不調を感じ、自分の意思で」医療機関を受診したときには、症状が進行・悪化していることが懸念されます。「健康診断などの結果から」が2位に挙がっている通り、健康診断は受診促進に有用です。ただ現状の一般的な健康診断では、「生理の頻度」や「痛み」についてはあまりチェックされません。健康診断に婦人科の問診項目を入れ、月経異常を早期に発見する仕組みを整えれば、受診促進のより強い後押しになりそうです。特に若年層は人間ドックなどの検診の機会が少ないため、まずは勤務先が1回だけでも婦人科検診の機会を補助することが、受診や治療のきっかけになります。また受診機会を増やすためには、希望者が検診受診を選択する方式(オプトイン)でなく、希望しない人は拒否できる方式(オプトアウト)にすることも検討すべきポイントでしょう。


【画像 https://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000250045&id=bodyimage4

◆「生理快適プロジェクト」とは

「生理快適プロジェクト」では、女性たちが自身のカラダのリズムを適切にマネジメントすることが“自分の健康向上”と“仕事のパフォーマンス向上”、“日常生活の快適”につながるという事実の啓発とそうした女性を企業や社会が支援することの必要性をメッセージする活動を行っています。
また同時に、女性たちの生理トラブルを減らすことが、女性活躍、不妊対策、生産性の向上につながり、SDGs的にも役立つことも伝えていきます。2021年夏には「生理で悩む人を減らすためのアクションプラン」を発表。女性・企業・社会が取り組みたい具体的な方法などを下記のサイトで紹介しています。

https://special.nikkeibp.co.jp/atclh/DRS/20/seirikaiteki/

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