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欧州の大麻由来成分カンナビジオール(CBD)製品に関する報告書「欧州の低THC大麻製品」が発行


「欧州の低THC大麻製品」報告書は、欧州薬物・薬物依存監視センター(EMCDDA)が2020年12月に発行した“Low-THC cannabis products in Europe”の仮訳版です。日本臨床カンナビノイド学会(新垣実理事長)は、当学会WEBサイトにて、仮訳版を12月29日付けで公表した。欧州のCBDオイルを含む低THC大麻製品の状況がわかる基礎資料としてご利用いただければと思います。

はじめに(本報告書から引用)

近年、ハーブ大麻や大麻オイルなどの大麻製品が欧州で一般販売されるケースが増えている。これらの製品は、低濃度のテトラヒドロカンナビノール(THC)のみが含まれていると主張している。THCは、大麻の精神作用の主な原因となる化学物質であるが、一部の国では薬物法の下で管理されていない可能性がある。このような状況により、これらの製品の法的地位と危害を引き起こす可能性の両方に関して、政策レベルでの懸念が生じている。政策立案者と低THC製品の供給を希望する者の両方が直面している特定の課題は、低THC製品の法的地位と、その販売に適用される規制の枠組みを確立することにある。特に、喫煙用混合物、オイル、エディブルなど、違法な大麻製品に類似した形態をとる低THC製品に関連した不確実性がある。これらの製品が本報告書の主な焦点である。

<解説>
「CBD製品」という表記にしないで、「低THC製品」で統一して表現しているのが発行元の欧州薬物・薬物依存監視センター(EMCDDA)らしい。2020年11月19日に、欧州裁判所でCBDは1961年麻薬単一条約における規制薬物に該当しないという直近の判決も含めて、欧州でCBD製品の課題について全体像がつかめるように解説しています。

目次

4 はじめにと理論的根拠
4 低THC大麻製品とは何ですか?

5 低THC製品に関する欧州の状況

5 低THC製品の種類
6 欧州での低THC製品の販売
7 小売店の種類
7 製品の由来
7 製品の品質
8 低THC製品のマーケティング
9 製品のラベルと免責事項
9 低THC製品のユーザーの特徴と動機
10 低THC製品の規制状況

12 低THC製品の増加に対する最近の規制対応

12 国家レベルでのTHC濃度の規制
13 CBD製品の規制
15 品質管理と法執行

15 将来を見据えて:低THC製品にはどのような牽引力がありますか?

16 参考文献
17 リソース
17 謝辞

【画像 https://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000229654&id=bodyimage1

<解説>
CBD製品は、ハーブ(乾燥花)、樹脂、オイル、電子タバコ用e-リキッド、エディブル(食用)、結晶製品(アイソレート)、化粧品類などの様々な種類があります。本報告書を読むと、欧州において、これらに関係する法律は、7つあり、これに各国の国内法の規制がプラスされ、欧州諸国での統一的な法的位置づけが全くできていないことがわかります。

・医薬品2001/83/EC指令(医薬品指令)
・食品規則(EC) No 178/2002
・食品サプリメント指令2002/46/EC
・新規食品規制(EU)2015/2283
・化粧品規則(EC)第1223/2009号
・タバコ製品指令2014/40/EU
・食品の栄養と健康に関する強調表記規則(EC) No 1924/2006

特に、1997年5月15日以前には、EU内でヒトが著しく消費していなかった食品と定義される「新規食品」にCBD製品が2019年に分類されたことにより、新規食品として販売するための安全性評価が必須となっています。

「欧州の低THC大麻製品」報告書はこちらからダウンロードできます。
http://cannabis.kenkyuukai.jp/information/information_detail.asp?id=108965


日本臨床カンナビノイド学会
2015年9月に設立し、学会編著「カンナビノドの科学」(築地書館)を同時に刊行した。同年12月末には、一般社団法人化し、それ以降、毎年、春の学術セミナーと秋の学術集会の年2回の学会を開催している。2016年からは、国際カンナビノイド医療学会;International Association for Cannabinoid Medicines (IACM)の正式な日本支部となっている。2020年10月段階で、正会員(医療従事者、研究者)74名、賛助法人会員10名、 賛助個人会員19名、合計103名を有する。http://cannabis.kenkyuukai.jp/

日本の大麻取締法
我が国における大麻は、昭和5年(1930年)に施行された旧麻薬取締規則において、印度大麻草が≪麻薬≫として規制されてきた。第二次世界大戦後、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)により印度大麻草と国内の大麻草は同一だと指摘を受け、一旦は、大麻草の栽培等の全面禁止が命じられた。ところが、当時の漁網や縄などの生活資材に必要不可欠であり、国内の農家を保護するために大麻取締法(1948年7月10日制定、法律第124号)を制定した。医師の取り扱う麻薬は、麻薬取締法(1948年7月10日制定、法律第123号)となり、農家が扱う大麻は、大麻取締法の管轄となった。その後、化学繊維の普及と生活様式の変化により、大麻繊維の需要が激減し、1950年代に3万人いた栽培者が1970年代に1000人まで激減した。欧米のヒッピー文化が流入し、マリファナ事犯が1970年代に1000人を超えると、それらを取り締まるための法律へと性格が変わった。つまり、戦後、70年間で農家保護のための法律から、マリファナ規制のための法律へと変貌した。2018年の時点で、全国作付面積11.2ha、大麻栽培者35名、大麻研究者401名。この法律では、大麻植物の花と葉が規制対象であり、茎(繊維)と種子は、取締の対象外である。栽培には、都道府県知事の免許が必要となるが、マリファナ事犯の増加傾向の中、新規の栽培免許はほとんど交付されていない。また、医療用大麻については、法律制定当初から医師が施用することも、患者が交付を受けることも両方で禁止されたままである。



配信元企業:一般社団法人日本臨床カンナビノイド学会
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